脳腫瘍の再発予防のため治療、術後の日常生活の工夫、再発や転移、病期ごとの生存率などについて詳しく解説します。
脳腫瘍の治療を行った後には、体調や再発の有無を確認するために、定期的に通院します。再発の危険性が高いほど頻繁、かつ長期的に通院することになります。脳腫瘍では、定期的にCTやMRIによる頭部の画像診断を行います。
また手術で腫瘍の完全摘出ができない悪性の場合は、ガンマナイフや分割照射が可能な定位的放射線照射「サイバーナイフ」による治療や、ニトロソウレア系のニムスチンやラニムスチンなど抗がん剤による化学療法、がんに有効なリンパ球を増殖させる免疫細胞療法、これらを組み合わせた治療法が用いられています。
放射線治療の副作用としては、疲労感、だるさ、倦怠感、食欲不振などがあります。また血液中の白血球減少により感染しやすくなる、赤血球減少による貧血、血小板減少によって出血しやすくなるといった症状も起こり得ます。
また化学療法においては、嘔吐や食欲不振という消化器症状があり、その他にも腎臓の働きや耳の聞こえが悪くなったりする可能性もあるとのことです。
脳腫瘍に限らずがん患者さん全体に見られる傾向として、病気そのものの影響や抗がん剤治療・放射線治療の副作用などによって体重が減少し、骨格筋も減少するといったことが往々にして起こります。
それゆえに、食事に関しては、高たんぱく、高カロリーの食事を心がけることが重要になってきます。ちなみに「肉食はがんの進行を早める」というのは、まったく根拠のない迷信で、むしろ肉は必要性の高い食品とされています。その他にも魚、卵、チーズ、豆、ナッツなどがおすすめとのこと。基本的には、よく噛んでゆっくり少量ずつ食べれば、何を食べても大丈夫とされています。
抗がん剤治療や放射線治療の副作用などで食欲がないときや、炎症などでうまく食べることができない場合といった場合、苦痛を我慢してまで無理に食事をとる必要はないとのこと。あくまでも、好きなものを食べやすい量で、食べたいと思った時に食べられるようにすればよく、そうした食事を予め用意しておくのがお勧めとのことです。
脳腫瘍という病気そのものの影響や、その治療における影響で、患者さんには運動機能障害が起こることがあります。
ただし、その度合いは、個々の患者さんによって様々。例えば入院治療中には分からなかったのに、退院後に普段の仕事や生活に戻ったときに、以前できたことが出来なくなっていることに気が付くというケースも決して珍しくはないそうです。
そうしたことからも、脳腫瘍者さんには、ひとり一人の症状や治療の経過などに応じたハビリテーションが必要になってきます。
前述しましたとおり、脳腫瘍という病気は個人差はあるものの、思うように身体を動かすことができなくなるという事態が起こりえます。そうした場合、患者さんは茫然自失、あるいは絶望的に気持ちが落ち込んでしまうこともありえるでしょう。
そうした場合に、ご本人とそのご家族だけで悩む必要はありません。担当のお医者さんや看護師さん、さらにリハビリの専門家である作業療法士や理学療法士といった方々に相談の上、回復するためにはどんなことをすべきか、どのようなことに注意すべきかをアドバイスしてもらいましょう。もちろんその場合、患者さん一人ひとりに適したリハビリの計画やメニューを作成してくれるはずです。以前の状態に戻ることを目指して、リハビリに励んでください。
冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生し体内の養分を吸収することで、子実体(キノコ)を成長させるバッカク菌類のキノコです。チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生しているものは、希少価値が高いことで知られています。
古くから生薬として重用されてきた歴史があり、近年では、中国の陸上選手の栄養管理に取り入れられたことで、世界的に注目されました。これまでも研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見されています。
天然物の冬虫夏草は大変希少です。現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものですが、品質や有用成分に差異はありません。人工培養の技術が誕生したにも関わらず、まだまだ希少価値が高い冬虫夏草は、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。そのため、購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
脳腫瘍は外科手術や化学療法などによって症状が根治することが理想ですが、例えば外科手術で腫瘍を取りきれなかったり、再発によってふたたび治療が必要となる場合も起こり得ます。以下、脳腫瘍の再発について見てみましょう。
脳腫瘍は悪性度の度合によって、グレード1からグレード4までの分類がなされています。そのうち、良性脳腫瘍とされるグレード1の髄膜腫(ずいまくしゅ)・下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)・神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などは、手術ですべて摘出すれば再発はまれとされています。
参照元:国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/brain_tumors/index.html
一方、検索してみましたが、グレード2~4の悪性脳腫瘍に関しては、再発率の数字に関する言及はネット上には見当たりませんでした。後述する「脳腫瘍の生存率」を参考にしてみてください。
そもそも脳にはリンパ管がないため、腫瘍細胞がリンパ管を通り他の臓器へ移動することがないため、原発性脳腫瘍は他の臓器へ転移することはほとんどありません。
一方、肺がんや乳がんなど他の臓器のがんを患っている場合、腫瘍細胞が血管などを通って脳へ転移するということは十分にありえます。この点には、十分に注意が必要となります。
脳腫瘍が再発、あるいは他の臓器のがんが転移したという場合、腫瘍の状態や再発した部位などに応じた治療が行われます。手術によって腫瘍を取り除くことができる場合は手術という選択がまず第一に行われます。その上で、手術で腫瘍を摘出できないという場合には、放射線療法や化学療法なども用いられます。
とりわけ転移性脳腫瘍の場合は、定位放射線療法という、腫瘍組織だけにしぼって放射線をあてる治療が用いられます。また複数の腫瘍があるという場合は、全脳照射を行って全ての腫瘍を小さくして、新しく腫瘍ができることを抑制するやり方も行われます。
脳腫瘍が再発した場合には、頭痛、吐き気・嘔吐、視力が低下する、手や足がしびれたり動かなくなる、耳の聴こえが悪くなるといった症状が現れます。そうした場合は言うまでもなく、直ちに医療機関で診療を受けてください。
またタンパク質や脂肪を過剰に摂取すること、ストレスを溜めすぎること、喫煙などは脳腫瘍の成長を促進してしまいますので、絶対に避けるべきです。
前述しました通り脳腫瘍は悪性度の度合いによってグレードが4つに分類されています。以下に脳腫瘍の種類とそれぞれのグレード、および5年生存率をご紹介します。
組織名 | グレード | 5年生存率 |
---|---|---|
毛様細胞性星状細胞腫 | I | 92.1% |
びまん性星細胞腫 | II | 75.0% |
乏突起膠腫・乏突起星細胞腫 | II | 90.0% |
退形成性星細胞腫 | III | 41.1 % |
退形成性乏突起膠腫・退形成性乏突起星細胞腫 | III | 68.2% |
膠芽腫 | IV | 10.1% |
上衣腫 | II | 86.3% |
乏突起膠腫・乏突起星細胞腫 | II | 90.0% |
退形成性星細胞腫 | III | 58.1 % |
神経節膠腫 | I | 98.1% |
中枢性神経細胞腫 | II | 98.4% |
髄芽腫 | IV | 68.7% |
胚腫(germinoma) | IV | 97.1% |
中枢神経系悪性リンパ腫 | IV | 42.3% |
グレードI髄膜腫 | I | 97.9% |
グレードII髄膜腫 | II | 91.2% |
グレードIII髄膜腫 | III | 86.6% |
神経鞘腫 | I | 98.8% |
GH産生下垂体腺腫 | I | 99.2% |
PRL産生下垂体腺腫 | I | 99.4% |
ACTH産生下垂体腺腫 | I | 97.2% |
非機能性下垂体腺腫 | I | 98.3% |
頭蓋咽頭腫 | I | 96.5% |
脊索腫 | II | 89.1% |
血管芽腫 | I | 96.3% |
類上皮腫 | I | 98.8% |
参照元:国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/brain_tumors/index.html