子宮頸がんの再発予防のため治療、術後の日常生活の工夫、再発や転移、病期ごとの生存率などについて詳しく解説します。
子宮の入り口にある「子宮頚部」に発生するがん。婦人科検診で発見されやすいがんであり、初期であれば比較的治療しやすいとされています。進行すると、骨盤の中のリンパ節や肺などに転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったりする可能性もあるので、早期発見が重要です。
参照元:子宮頸がんについて がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/about.html)
正常な状態ではすぐにがんになることはありません。がんになる前の状態(異形成)から数年後にがんが発生します。異形成にはおりものや出血、痛みの症状はあらわれないようです。
がんが進行すると、月経中では期間や性交渉の際の出血、濃い茶色や膿のようなおりものが増える、水っぽいおりものや粘液が多く出るといった症状があらわれます。さらにがんが進行すると、下腹部や腰の痛み、尿や便に血が混じることもあるので、これらの症状が確認されたときは、少しでも早く婦人科を受診してください。
参照元:子宮頸がんについて がん情報サービス
(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/about.html)
全国がん罹患統計データによると、子宮頸がんの罹患数は10,978人。年齢別では人工10万人に対して45~49歳(29.2人)をピークに40~44歳(27.8人)、35~39歳・50~54歳(26.4人)と続きます。(※2018年時点の情報です)
死亡率は2,887人。年齢別では人工10万人に対して85歳以上(11.7人)をピークに80~84歳(9.3人)、75~79歳(7.1人)となっています。年齢別で罹患数の一番多い45~49歳は5.3人、50~54歳で6.6人です。これを見ると、年齢が高くなるにつれて死亡率も高くなっていることがわかります。(※2020年時点の情報です)
参照元:がん種別統計情報 がん情報サービス
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html)
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の統計によると、I期で92.1%、Ⅱ期で74.2%、Ⅲ期で52.0%、Ⅳ期で29.8%と記載されています。5年生存率については、I期で92.1%、Ⅱ期で74.2%、Ⅲ期で52.0%、Ⅳ期で29.8%です。これらの数字を見ると、早期に発見するとほとんどの人の命が助かる病気なのです。かといって、がんになる前の状態ではほとんど症状はあらわれないとされています。子宮頸がんの全国の検診率は2019年で43.7%と半分以下です。少しでも早く見つけるためにも、定期的な検診が必要なのではないでしょうか。
参照元:がん検診受診率 がん情報サービス
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/screening.html)
子宮頸がんは子宮がんの約7割を占めていると言われています。40代~50代の人が発症しやすい病気ですが、上記のデータを見ると30代後半も50代前半と同じ数字です。子宮頸がんの発症を防ぐHPVワクチンで60~70%が予防できると言われており、10歳代前半に接種をすることが推奨されています。
子宮頸がん生存率を高めるには早期発見と再発予防が重要です。子宮頸がん検診は、子宮の入り口付近の頸部の細胞を集めて、顕微鏡でがん細胞や前がん病変の細胞を見つける細胞診検査です。20歳を過ぎたら2年に1回はがん検診を受けましょう。HPVワクチンを接種した人も検診を受けるよう推奨されています。がん検診を推進するため、各自治体ではその年の年齢に合わせて「子宮頸がん検診無料クーポン券」が配布されています。自分の年齢に当てはまる年が来たら受診してみましょう。
参照元:日本産科婦人科学会(https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10)
子宮頸がんの術後補助療法は、再発の恐れのある因子に対して行なわれます。骨盤リンパ節への転移や腫瘍の大きさなどが考慮すべき因子と言われています。
因子の組み合わせによって、高リスク群・中リスク群・小リスク群と3つに分類されます。低リスク群は経過観測でも良いと言われていますが、高リスク群に関しては、再発を考慮して放射線治療や化学療法が行なわれることがあります
放射線治療や化学療法などによる術後補助療法には、副作用が出てしまうことも。症状の一例には、食欲不振や下痢、膀胱炎や粘膜炎などが見られます。
受けた子宮頸がんの術後補助療法によって、起こる可能性のある副作用の症状が変わります。副作用は治療中や直後に現れるものから、治療から3ヶ月以上経過して現れることもあります。
治療中はもちろん、治療後も身体の調子が気になる場合は、速やかに医師へ相談しましょう。
子宮頸がんの食事に関して、特に制限が設けられていません。体力を回復させるためにも、バランスの良い食事を取ると良いでしょう。
基本的に食事での制限はないものの、放射線治療や開腹手術を受けている場合、気を付けたい点があります。それは腸閉塞の発症です。手術後の合併症の一つに、腸閉塞の発症が挙げられます。
治療直後は消化しにくい食べ物や、食物繊維が多く含まれている食べ物はなるべく避けることをおすすめします。
治療中や治療後は体力が落ちているため、人によっては食欲が沸かなくなる可能性があります。食欲不振に陥ったことで栄養バランスが崩れ、食事量の低下とともに体重も減ってきてしまったと、悩まれる方も少なくありません。
栄養や体力維持のためにも食事は重要ではありますが、食べなくてはいけないと無理を続けてしまうと、食事そのものを苦痛に感じて食欲不振を増幅してしまう恐れがあります。
食事を億劫に感じることなく楽しみの一つにするためにも、がちがちにルールを設ける必要はありません。食欲がある日に好きなものを食べる形でも問題ありません。
【食べやすく栄養が取りやすいもの】
食欲がないときでも、食べやすく栄養素が高い食事を紹介いたします。
■汁もの
おみそ汁やスープですと、いろいろな食材を入れられるので、栄養素の高い一杯になります。汁ものなのでのど越しも悪くないため、さらりと摂取しやすいでしょう。
■酢のもの
酢のものはさっぱりとした味付けのため、量を食べやすくなります。酸味は食欲を刺激するとも言われているため、あまり食べる気分でなくても、口に運ぶと箸が進みやすくなります。
■栄養補助食品
食事から必要な栄養素を補うには、献立や食材に気を配る必要があり、食事の段階で疲れてしまうことも。思うように食事ができず、悩まれている方は、栄養補助食品を取り入れてみましょう。
栄養補助食品を食事に用いると、比較的かんたんに必要な栄養素を取り入れることができます。栄養補助食品を食べるまたは飲むだけでも一定量の栄養が取れるとなると、食事に関する心理的負担を減らせる効果も期待できるでしょう。
運動は体力の回復具合によって、運動量を調整する必要があります。体力が低下している状況では、無理せずできる範囲で運動をするように心掛けてください。
急に激しい運動をするのではなく、まずは散歩から始めてみると良いでしょう。少し身体を動かしてみて、疲れたらすぐに休憩してください。体力の回復にあわせて少しずつ運動量を調整する際は、医師に相談することをおすすめします。
手術後は体力低下が原因で疲労感を覚え、運動不足に陥ってしまう方は少なくありません。ですが、身体の機能を向上または維持するためには、運動は必要不可欠です。
少し軽めの筋力トレーニングや有酸素運動から始めて、なるべく毎日継続して行なってください。推奨されている運動時間は、週に合計150分です。150分の運動が難しい場合は、医師と相談して運動時間を決めましょう。
倦怠感や疲労感がある中での運動は、人によっては苦しく感じるかもしれません。ですが、運動することで得られるメリットは決して無視できるものではないため、少しずつでも取り入れることを検討してみてください。
冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生し体内の養分を吸収することで、子実体(キノコ)を成長させるバッカク菌類のキノコです。チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生しているものは、希少価値が高いことで知られています。
古くから生薬として重用されてきた歴史があり、近年では、中国の陸上選手の栄養管理に取り入れられたことで、世界的に注目されました。これまでも研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見されています。
天然物の冬虫夏草は大変希少です。現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものですが、品質や有用成分に差異はありません。人工培養の技術が誕生したにも関わらず、まだまだ希少価値が高い冬虫夏草は、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。そのため、購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
子宮頸がんの場合、治療後2年の間での再発が多いと言われています。子宮摘出後の局所再発率は25%。子宮が残っている場合の再発率は、摘出後の再発率との数値が変わります。
・局所再発率と遠隔転移率
放射線治療を選択して子宮が残っている場合、局所再発は76%。遠隔転移(子宮まわりではなく、肺や心臓と遠く離れた臓器への転移)は、16%と言われています。
再発後の治療方法は標準的なものがないため、患者さんの状態を確認しながら、ご本人やご家族と相談の上、治療方法が決まります。
子宮頸がんが進行すると、骨盤の中からリンパ節に転移して、リンパ節を通じて子宮から離れている肺や脳に転移することがあります。子宮以外の場所での再発は、遠隔再発と呼ばれ、転移した場所に応じて適した治療法が変わります。
子宮頸がんを再発した場合、再発した箇所によって治療方法が異なります。再発場所が放射線をあてていない場合、該当箇所への放射線治療が行なわれます。
再発場所が以前にも放射線をあてていた場合、再度放射線をあてると合併症の可能性が高まるため、薬物療法を行なうのが一般的です。
しかし、薬物療法は放射線よりも効果があまり期待できないと言われています。そのため患者さんが希望する生活が送れるようにと、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を保つための治療を医師から提案されることもあります。
再発後は医師の指示に従って、今後の方針を決める必要があります。新たに治療を受けるにせよ、規則正しい生活を送るようにしましょう。
体力の回復や体調を維持することによって、選べる選択肢を増やすことができます。タバコや飲酒を控えて、適度な運動にバランスの良い食事と、規則正しい毎日を過ごして経過をみていきましょう。