クリニック名 | 藤沼医院 |
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所在地 | 栃木県河内郡上三川町梁347 |
電話番号 | 0285-53-7105 |
※全国対応可能
膵臓がん再発予防のための治療法や副作用、免疫機能を高める日常生活のポイントなどをご紹介します。
膵臓は長さ20cmほどの大きさであり、左右に細長い臓器です。ちょうど胃の後ろに位置しています。膵臓がんとはこの膵臓にできるがんのことで、その多くが膵管の細胞から発生するとされています。膵管は膵臓と十二指腸をつないでいる管で、膵臓で作られた膵液を十二指腸に運ぶ役割を持っています。
ほかにも膵臓にできる腫瘍として膵管内乳頭粘液性腫瘍や神経内分泌腫瘍などがありますが、これらは膵臓がんとは異なる疾患です。
膵臓がんは、発症しても症状が出にくく、早期発見は非常に難しいがんとして知られています。
ただ、がんが進行した場合には腹痛や食欲不振に加えて、腹部の膨満感や黄疸、背中や腰の痛みなどが起きてきます。また、人によっては急に糖尿病を発症する、またもともと糖尿病だった方が急激に悪化するといったケースもあります。
しかし、上記に挙げた症状は膵臓がん特有の症状というわけではありません。また、膵臓がんを発症しても出てくる症状は人それぞれであることから、上記のような症状が起こらないケースもあります。
2018年の1年間で膵臓がんと診断された方の数は、男女合計で42,361例となっています。(うち男性は21,559例、女性は20,800例)。人口あたりの罹患率は人口10万人あたり33.5例です(男性35.0例、女性32.0例)。膵臓がんにおいては、男性と女性の間での罹患率はそれほど差がありません。
また、2020年の死亡数は37,677人(男性18,880人、女性18,797人)であり、人口10万人あたりの死亡率は29.4人(男性30.1例、女性28.7例)となっています。
参照元:がん情報サービス https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/10_pancreas.html
臨床病期 | 5年生存率 |
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Ⅰ期 | 51.8% |
Ⅱ期 | 22.9% |
Ⅲ期 | 6.8% |
Ⅳ期 | 1.4% |
参照元:がん情報サービス https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2013-2014&elapsed=5&type=c11#h-title
膵臓がんとはどのような病気なのか、また起こる可能性のある症状や罹患率、ステージごとの5年生依存率などについて紹介してきました。非常に症状が出にくく、初期での発見が難しいとされているがんであり、ほかのがんと比較すると予後が良くない傾向があります。その中で、生存率を高めるためにはやはり早期の発見と再発予防が重要であるといえるでしょう。
また膵臓がんの場合、家族に膵臓がんになったことがある方がいる場合や、糖尿病・慢性膵炎・膵管内乳頭粘液性腫瘍にかかっていることなどが膵臓がんのリスクを高めるといわれています。また、喫煙も膵臓がんのリスクを高めるとも考えられていますので、気になる症状がある場合には医療機関を早めに受診することが大切です。
膵臓がんに対する術後補助化学療法としては、TS-1という抗がん剤を半年間服用するのが一般的です。TS-1の科学的有効性は、世界的な臨床医学雑誌にも報告されています。TS-1を半年間服用した場合の5年生存率は44.1%で、ゲムシタビンを半年間投与した場合の24.4%よりも有意に良好という結果がでています。
また、術後だけでなく、術前に放射線療法を行う術前補助化学療法の有効性が期待されており、現在盛んに研究されています。
治療に用いる抗がん剤の種類にもよりますが、口や消化管などの粘膜や髪の毛、骨髄など、新陳代謝が盛んな細胞がダメージを受けやすいため、口内炎・下痢・吐き気・脱毛などが生じやすいとされています。
また、全身倦怠感や肝機能・腎機能が障害される場合もあります。多くの副作用は一過性であり、必要に応じて症状を抑える薬を併用したり、治療の休止・変更もできます。
術後補助療法は、効果が高いものの心身への負担は少なくありません。もし膵臓の全摘出をしていれば、インスリン注射が欠かせなくなり、生活の変化に戸惑っている患者さんもいらっしゃることでしょう。そこに副作用が加わることを考えれば、不安に思うのは当然です。
副作用は無限に続くものではなく、治療が落ち着けば症状がおさまります。少しずつ体力をつけ、出来ることを増やし、徐々に日常生活を取り戻していきましょう。
すい臓がんの手術後は、膵臓機能が低下しているため、特に脂肪分の消化不良を起こしやすくなります。そのため、脂肪分(特に動物性脂肪)を控え、良質なたんぱく質を多く摂るようにしましょう。
脂肪分以外の消化吸収にも時間がかかるので、食事の量を少なめにして、回数を分けて摂るのがポイントです。そのほか、香辛料やコーヒー・紅茶などは控えめにし、飲酒については医師と相談のうえ、量を決めて楽しむようにしましょう。
膵臓がんの手術直後の痛みや抗がん剤治療による吐き気や口内炎などの副作用が出ている方は、無理して食事内容にこだわる必要はありません。食べられないことへの不安もあると思いますが、まずは、経口補水液などで脱水を予防し、食べられる時に食べられるものを少しずつ摂取してみましょう。
バランスや量を考えるのは体調がもう少し落ち着いてからでも遅くありません。辛い時期ですが、焦らず少しずつステップアップしていけば、がん治療に必要な体力や免疫機能も徐々に改善し、体調も落ち着いてくることでしょう。
体調が優れないときには、無理をせず家族や周りのサポートを受けることも必要です。
膵臓がんの手術後や入院中、退院直後は体を動かす機会が減るため、身体機能や筋力が低下しやすくなります。特別な制限がない場合は、体調に合わせて、無理のない範囲での筋力トレーニングや有酸素運動(ウォーキングやヨガなど)、家事などを行うことがすすめられています。適度な運動は心身のリフレッシュにもなるため、生活の質を高めることにもつながります。
膵臓がんの手術後の痛みや、抗がん剤治療による体調不良があると、たとえ軽い運動であっても難しいかもしれません。その場合は無理をせず、手足をさすったり、マッサージしたり、無理のない範囲で体を動かすだけでも、筋力低下対策やリフレッシュにつながります。
また、日光浴をしたり、腹部を温めたりすることも、がん治療で低下した免疫機能の改善に役立つのでおすすめです。体調が落ち着いたら少しずつ体を動かす機会を増やしましょう。
国内のがん治療は、手術・抗がん剤・放射線治療が主流です。攻撃力が高く効果が目に見えやすい治療ですが、いずれも正常な細胞にもダメージを与えてしまいます。しかし、がんをはじめとした様々な病気が「体内のクリーニング現象」と考えた場合、元々体に備わっている力(免疫力)を高めることが、体に必要以上のダメージを与えない予防や治療につながると考えられます。
免疫力は様々な要因によってバランスが変化し、特に生活の質が深く関係しています。おいしく食事ができる、気持ちよく体を動かせる、日常生活がストレスなく送れるなど、質の高い生活をすることで、免疫機能が正常にはたらくようになります。
私の医院では、がんの再発を予防する代替療法のひとつとして、免疫機能改善効果が期待できる「冬虫夏草」を取り入れています。甲状腺がんによって低下した免疫機能の回復や維持に効果を発揮することで、甲状腺がんの再発予防につながる可能性があります。
冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生し、体内の養分を吸収することで子実体(キノコ)を成長させるバッカク菌類のキノコです。元々は、チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生しているもののみ、冬虫夏草としていました。現在では特定のものを指すわけではなく、同種の総称となっており、日本国内でも数百種類の冬虫夏草が存在しています。
その後の数々の研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見され、世界的に注目されるようになりました。天然物の冬虫夏草は大変希少であるため、現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものです。
膵臓がんの手術を受けた場合でも、がんの状態によっては再発や転移が起こる場合があります。膵臓がんの再発率やその部位、再発後の治療や生活への影響などについてみてみましょう。
膵臓がんは、診断と治療が難しいとされているがんであるため、手術ができる患者さんは20%程度といわれています。手術できたとしても、再発の可能性が高く、5年生存率(相対生存率)は10%以下というデータが示されているようです。
参照元:国立がん研究センターがん情報サービス|生存率集計2010-2011年数値 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html
膵臓がんは、膵臓周辺のリンパ節や肝臓に転移しやすいとされています。また、がんが腹腔内に散らばる腹膜播種が起こる場合もあります。
膵臓がんが再発した場合には、患者さんの状況に応じて治療法を選択します。具体的には、ステント療法・バイパス療法・放射線療法・支持緩和療法・手術などがあります。
転移がみられる場合、再手術することは少なく、薬物療法や放射線療法、痛みや食欲低下に対する緩和ケアが一般的です。
膵臓がんの手術によって、脂肪の消化吸収に必要な胆汁や膵液の減少・分泌停止が起こると、消化不良が起こりやすくなるため、食事のとり方や内容を見直す必要があります。
また、膵臓を摘出した場合には、血糖をさげるインスリンの分泌ができなくなるため、毎日インスリンの自己注射が不可欠となります。