皮膚がんの再発予防のため治療、術後の日常生活の工夫、再発や転移、病期ごとの生存率などについて詳しく解説します。
皮膚がんの原則的な治療法は手術による患部の切除ですが、患者により、または症状の程度により、術後、いくつかの補助療法の中から選択的に治療が継続されることが大半です。
一般的には、悪性黒色腫の場合であれば分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、インターフェロンなどが選択されます。
また、手術が困難な症例やがんが再発した場合においては、一般に化学療法(抗がん剤)や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが選択されます。
分子標的薬の副作用としては、全身倦怠感や吐き気、食欲不振、粘膜障害、白血球減少、高血圧、甲状腺機能異常、手足症候群などが報告されています。
またインターフェロンの副作用としては、倦怠感や発熱、食欲不振、嘔吐、頭痛、脱毛、白血球減少などが報告されています。
補助療法の種類に応じ、報告されている副作用の内容がやや異なりますので、事前に医師からきちんと説明を受けるようにしましょう。
皮膚がんの自覚症状の中でも特に患者を悩ませるのが、患部からの出血と患部の疼痛。それぞれの対処法を確認しておきましょう。
【出血の主な対処法】
【疼痛の主な対処法】
症状に応じ、各種のケア法の中から選択することになります。医師の指示に従い、適切に対処するようにしましょう。
薬物療法や放射線治療などの影響で、食欲不振になる皮膚がん患者も少なくありません。そのような中で無理に食事を摂ろうとすると、吐き気や嘔吐などの症状が悪化することがあるため、注意しながら慎重に食事を摂ります。
具体的には、まずは脱水を予防することが大事。経口補水液などの吸収の良い水分で脱水を予防しましょう。また、プリンやゆで卵、果物、豆腐などの食べやすい食品を用意しておくことも有効。患者によっては、塩昆布やふりかけなど、ご飯が進む脇役を常備しておいても良いでしょう。
ほかにも、刺激の強い食べ物や脂っぽいメニューを避けたり、楽しい雰囲気の中で食事を摂ったりなど、患者本人の状況に応じた食欲増進のための工夫を行います。医師に相談のうえ、適切な食事を心がけていきましょう。
予後良好な場合には、医師の観察による許可のもと、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を始めてみましょう。運動が状態改善に寄与することがある点は、学会でも報告されています。
なお「コーヒーを飲んでから運動すると、皮膚がんの予防効果が期待できる」とする研究結果が、アメリカのラトガース大学から報告されています(マウス実験による研究)。参考までに。
術後補助療法などの影響で思うように体を動かせない方は、無理に運動をしないようにしましょう。患部を避ける形で手足をさすったりマッサージをしたり等、適度な力で体をほぐしてください。最低限の筋力維持を意識すると良いでしょう。
また、かりに運動可能なほど体が元気だったとしても、激しい運動は医師に相談のうえ行うようにしてください。
冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生し体内の養分を吸収することで、子実体(キノコ)を成長させるバッカク菌類のキノコです。チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生しているものは、希少価値が高いことで知られています。
古くから生薬として重用されてきた歴史があり、近年では、中国の陸上選手の栄養管理に取り入れられたことで、世界的に注目されました。これまでも研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見されています。
天然物の冬虫夏草は大変希少です。現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものですが、品質や有用成分に差異はありません。人工培養の技術が誕生したにも関わらず、まだまだ希少価値が高い冬虫夏草は、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。そのため、購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
皮膚がんの手術や術後補助療法によってがんが根治することが理想ですが、中には再発や転移などにより、ふたたび治療が必要となることもあります。以下、皮膚がんの再発・転移について見てみましょう。
・基底細胞がんの再発・転移
ほとんどが外科療法のみで治ります。放置すると皮膚だけでなく筋肉や骨などの深い組織へと浸潤していきますが、リンパ節や内臓への転移は約0.5%と非常にまれです。
・悪性黒色腫の再発・転移
(Ⅲ期の場合)50~60%で、腫瘍の再発や転移が発生する確率が高く、定期的に医療機関で検査を行う必要があります。
脇の下や太ももの付け根のリンパ節、皮膚の他の部位、筋肉、軟骨、骨、内臓などに転移することがあります。患部の症状のレベルや転移の状況に応じ、病期(Ⅲ期、Ⅳ期など)が判断されます。
皮膚がんの転移が見られた場合には、手術の際、リンパ節郭清(かくせい)が行われることがあります。がん周辺にあるリンパ節も併せて切除する手術です。これにより、さらなる転移を予防することができます。
皮膚転移や皮下転移が見られた場合には、切除の範囲を大きくしたりインターフェロン注射や放射線治療、および転移予防のためのインターフェロン治療などが選択されます。
また遠隔転移が見られた場合には、転移部位の手術を単発で行う場合もありますが、一般的には薬物療法により治療を進めることになります。
皮膚がんが再発した場合、医師の指示により定期的に通院・検査を受けるようにします。必要に応じて治療も受けます。
治療により状態が良くなったとしても、日常的に自分で患部や患部周辺を目視観察するようにしてください。家族に全身の皮膚状態をチェックしてもらうことも、再発・転移を早期発見するために有効とされています。観察して気になる部分を発見したら、速やかに主治医へ報告しましょう。
主な3種類の皮膚がんのうち、基底細胞がんは転移することがほとんどないため、早期に治療すれば予後は良好です。以下、有棘(ゆうきょく)細胞がんと悪性黒色腫の5年生存率について見てみましょう。
がん | 有棘(ゆうきょく)細胞がん | 悪性黒色腫 |
---|---|---|
0期 | ほぼ100% | 良好 |
Ⅰ期 | ほぼ100% | 95~100% |
Ⅱ期 | 85% | 70~80% |
Ⅲ期 | 55~65% | (50~60%で再発・転移) |
Ⅳ期 | 66.3% | 74.6% |
皮膚がんⅣ期 | 30%以下 | 10%前後 |