クリニック名 | 藤沼医院 |
---|---|
所在地 | 栃木県河内郡上三川町梁347 |
電話番号 | 0285-53-7105 |
※全国対応可能
胃がん再発予防のための治療法や副作用、免疫機能を高める日常生活のポイントなどをご紹介します。
胃がんとは、胃に発生するがんのことです。胃壁の内側にある粘膜の細胞ががん細胞となり、増加することによって発生します。胃がんには種類があり、中には「スキルス胃がん」と呼ばれるものがあります。スキルス胃がんは胃壁を厚く硬くさせながら広がっていくタイプの胃がんです。
胃がんの症状ですが、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いとされています。さらに、かなり進行している状態だったとしても、症状を感じられない場合もあります。
胃がんの代表的な症状は、「胃や(みぞおち部分)の痛みや不快感」「吐き気」「胸焼け」といったものがありますが、胃がんの時のみに見られる症状ではなく、胃炎などを起こしている時にも感じられることがあります。ただ、胃炎だと思って病院で検査を受けた時にがんが見つかるケースもあります。
胃がんは日本人に非常に多いがんであり、特に男性においては部位別の罹患率で1位となっています。2018年に胃がんと診断された数は126,009例(男性86,905例、女性39,103例)となっており、人口10万人あたりの罹患率は99,7例(男性141,2例、女性60,2例)となっています。
また、2019年の死亡数は42,931人(男性28,043人、女性14,888人)で、人口10万人あたりの死亡率は34,7人(男性46,6人、女性23,4人)となっています。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/5_stomach.html
胃がんのステージ別生存率(相対生存率)は下記の通りとなっています。
がん | 1年生存率 | 2年生存率 | 3年生存率 | 4年生存率 | 5年生存率 |
---|---|---|---|---|---|
胃がん合計 | 88.4% | 81.6% | 78.3% | 76.4% | 75.4% |
胃がんⅠ期 | 100.0% | 100.0% | 99.6% | 99.1% | 98.7% |
胃がんⅡ期 | 92.1% | 81.9% | 74.5% | 69.3% | 66.5% |
胃がんⅢ期 | 84.5% | 67.1% | 56.6% | 50.2% | 46.9% |
胃がんⅣ期 | 43.9% | 19.0% | 10.4% | 7.4% | 6.2% |
参照元:全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2011〜2013年集計)による https://kapweb.chiba-cancer-registry.org
胃がんに関するデータをご紹介してきましたが、早期発見ができた場合には高い生存率となっていることから、できるだけ初期の段階でがんを見つけることが大切なことといえます。ただ、上記でご紹介をした通り胃がんは初期の段階の場合自覚症状がほとんどないことから、自分で発見するのは非常に難しいといえるでしょう。そのため、定期的な検診などを受けることが非常に大切になってきます。検診により胃がんを見つけることが可能になります。
このように、胃がんの場合も生存率を高めるには、早期発見と再発予防に取り組むことが重要であるといえます。
術後補助化学療法(アジュバント療法)とは、胃がん病期のⅡA・ⅡB・ⅢA・ⅢB・ⅢCにあたる方を対象とした治療です。術後に、目に見えないレベルのがんが残っている可能性がある場合、増殖・再発を防止する目的で抗がん剤を使用します。
胃がんで用いられる抗がん剤は主に4種類あります。術後補助療法に用いられるのは、飲み薬のTS-1です。4週間服用し、2週間休むというパターンを手術後1年目まで続けます。TS-1を単独で用いる場合と、ドセタキセルという抗がん剤を併用して用いる場合があります。
術後補助化学療法を行うことで生じる副作用には様々なものがあります。主な症状としては、吐き気・嘔吐、口内炎、下痢、疲労感、食欲不振、脱毛、しびれ、皮膚障害、便秘、骨髄抑制、味覚や嗅覚の変化などです。これは、抗がん剤の作用が、正常な細胞にも及ぶため起こるとされており、副作用の症状や程度は、使用する抗がん剤によって異なり、個人差もあります。
副作用が強い場合は、抗がん剤を減量したり、一時的に休止したりしながら、体調に合わせて治療を進めていきます。
術後補助療法は再発率低下を期待できるものですが、心身への負担が大きいのも事実。元気になるための治療とは理解していても、副作用による日常生活への影響を不安に思うのは当然です。
そもそも胃がんの手術によって、食事で気を付けなければならないことが増えたり、貧血になりやすくなったりと、不調を感じている方もいるでしょう。元気な時と同じような状態になるには時間がかかるかもしれませんが、少しずつ生活を改善して、できることを増やし、再発予防に取り組んでいきましょう。
胃がんの手術を受けた方が注意すべきなのが、ダンピング症候群です。早期と後期の2種類があり、食後すぐに起きるのが「早期ダンピング症候群」です。血圧の低下、めまい、動悸、脱力感、冷や汗、腹痛、下痢などの症状が現れます。胃で食べ物がゆっくり消化されず、すぐに腸へ移動してしまうのが原因のため、ゆっくり食事するのが基本的な対策方法です。
食後2~3時間で起こるものは「後期ダンピング症候群」です。低血糖が原因で、脱力感、倦怠感、頭痛、眠気などが起きます。不快な症状が現れそうになった時に、糖分を補給することが予防となります。
そのほか、胃の入り口を切除した場合は、逆流性食道炎になりやすいので、脂肪分の多い食事を控え、就寝直前の飲食は控えましょう。胃を全摘した場合は、赤血球を作るためのビタミンB12が吸収しにくくなり、胃酸の分泌も減少します。鉄欠乏性貧血になりやすいので、鉄分やビタミンCを多く含む食品を積極的に摂取するとよいでしょう。
いずれの場合も、胃の状態に合わせた食べ方に少しずつ慣れていくことで、体力や免疫機能の維持に必要な栄養を補給できるようになります。手術後は、「少量ずつ」「回数を分ける」「ゆっくりよく噛む」ことを意識してください。
胃がんの手術直後や抗がん剤治療の副作用が出ている方は、食事が苦痛かもしれません。そんな時は、無理してまで食事内容にこだわる必要はありません。体力や免疫力の維持のため、まずは、経口補水液などで脱水を予防し、食べられる時に食べられるものを少しずつ摂取してみましょう。バランスや量を考えるのは、体調がもう少し落ち着いてからでも遅くありません。
ヨーグルトやゼリーなど、さっぱりした口当たりのものは比較的食べやすく、消化がよいのでおすすめです。辛い時期ですが、焦らず少しずつステップアップしていけば、がん治療に必要な体力や免疫機能も徐々に改善し、体調も落ち着いてくることでしょう。
入院中は体を動かす機会が少ないため、体力や筋力が低下しやすくなります。そのため、退院後は、体調にあわせながら少しずつ運動する機会をつくるとよいでしょう。最初から負荷の大きい運動をするのではなく、ウォーキングやヨガなど、負荷の小さい有酸素運動や筋力トレーニングから始めるのがおすすめです。運動することで体が温められ、免疫機能の改善が期待できます。
胃がんの手術直後や抗がん剤治療によって、思うように体を動かしにくい方は、ヨガや筋力トレーニングをいきなり取り入れるのは難しいかもしれません。その場合は、無理をせず、手足をさすったり、マッサージしたり、無理のない範囲で動かしたりするだけでも、筋力低下対策やリフレッシュにつながります。
また、日光浴したり、腹部を温めたりすることも、がん治療で低下した免疫機能の改善に役立つのでおすすめです。体調が落ち着いてきたら少しずつ体を動かす機会を増やしていきましょう。
再発予防を行うにあたり、患者さんの体調は良いに越したことはありません。体調が整えば、出来ることが増えます。おいしく食事ができるようになる、気持ちよく体を動かせるようになる…といった具合に、生活の質を高めていくことが、再発予防の幅を広げることになるのです。
日常生活のさまざまな動作を向上するポイントは、免疫機能の正常化。そもそもがんの発症は、免疫細胞のはたらきが抑制されることがひとつの原因です。そのため、免疫機能を正常にすることは、がんの再発予防にもつながります。
医院では、がんの代替療法のひとつとして、免疫機能改善効果が期待できる「冬虫夏草」を取り入れています。胃がんやその治療によって低下した免疫機能を改善する効果が期待できます。
冬虫夏草とは、チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生して生長するキノコです。中国では古くから滋養強壮剤として重用されてきた歴史があります。その後の研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見され、世界的に注目されるようになりました。天然物の冬虫夏草は、大変希少であるため、現在商品化されているものは、人工培養によるものが主流です。
しかし、希少価値が高い冬虫夏草ゆえに、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
胃がんの手術を受けた場合でも、がんの状態によっては再発や転移が起こる場合があります。胃がんの再発率やその部位、再発後の治療や生活への影響などについてみてみましょう。
進行性の胃がんに対しては、手術後の術後補助化学療法が基本となっています。一般的には、1年間の抗がん剤を内服が目安となっているようです。術後補助化学療法を行わない場合、5年経過時点での再発率は40%程度であるのに対し、治療を行った場合は10%減少して、30%程度になるというデータが示されています。
参照元:済生会横浜市南部病院|胃がん https://www.nanbu.saiseikai.or.jp/cancer/explain/stomachcancer/
胃がんが再発・転移しやすい部位は、肝臓や肺、腹膜、リンパ節などです。血流によってがん細胞が再発・転移するものとリンパ管にがん細胞が入って再発・転移するものがあります。また、胃の一番外側の漿膜を破って、腹腔内にがん細胞が散らばって広がる腹膜播種という形態の再発・転移もあります。
再発した胃がんに対しての治療は、全身状態や合併症の有無などの条件をクリアしている場合、抗がん剤治療が検討されます。強い痛みを感じる際には、生活の質を保つ目的で痛み止めを用いたり、放射線治療が選択されたりするようです。
胃がんの手術後や再発後は、特に食事面での工夫が必要となります。胃の摘出によってダンピング症候群が起こりやすいため、高糖質の食事を控え、ゆっくりとよく噛んで少しずつ食べることに慣れることが大切です。
また、鉄分やカルシウムを吸収しにくくなるため、貧血や骨粗しょう症に気を付ける必要があります。必要に応じて鉄剤やカルシウム製剤などを服用や、筋力をつけるための適度な運動も大切です。