精巣がんの再発予防のための治療や治療に伴う副作用、食事や運動など術後の生活の工夫といった点について紹介しているページです。再発や転移、生存率などに関する情報もまとめています。
精巣がんは、細胞の種類により「セミノーマ」と「非セミノーマ」の2つに分けられます。この2つを比較すると、非セミノーマの方が転移しやすく、より悪性の経過をとるという特徴があります。精巣がんの治療としては、まず高位精巣摘除術が行われます。その後の治療方法は病期などによって異なります。
まず転移が見られないステージⅠの場合には精巣摘除術のみを行った上で厳重に経過観察を行い、希望がある場合には補助療法を実施。5年程度は医師の指示により定期的に腫瘍マーカーやCT、超音波による検査などを行います。
転移が見られる場合には化学療法を行います。抗がん剤による治療を行うことで腫瘍マーカーの陰性化を待ち、残存した腫瘍があれば摘出を行います。摘出した残存腫瘍に生きているがん細胞が認められる場合には追加で化学療法を行います。また、化学療法を行っても腫瘍マーカーが陰性化しないケースでは、別の抗がん剤を用いるなどして治療を行います。
転移がない場合にも再発や転移の可能性が高いと考えられる場合にも化学療法が行われる場合もあります。また、転移がない場合の再発予防を目的として放射線治療が行われます。
化学療法や放射線治療を行うことによって精子の数が少なくなることで不妊になるケースがあります。このことから、治療前に精子を冷凍保存しておくという選択肢もあります。
また、化学療法を受けた場合には、短期的な副作用として食欲低下や吐き気といった消化器症状、腎機能障害や難聴・手指末端の知覚障害といった末梢神経障害のほか、白血球の減少や脱毛といったものが見られることがあります。長期的な副作用としては、慢性腎機能障害や末梢神経障害が残ることがあります。ただし、治療時に副作用を和らげるための処置をしっかりと行うことによって予防することも可能とされています。
放射線治療を受けた場合の副作用としては、照射中の倦怠感や食欲不振、下痢、微熱などが見られることがありますが、一次的なものであり、それほど重篤なものではないと考えられます。
精巣がんの再発予防を考える上では、まずは定期的な通院と検査を行っていくことが必要なので、医師の指示に従って通院するようにしましょう。また、手術後の経過が良かったとしても、自己判断によって通院をストップしないことが重要です。
化学療法を行っている場合には制吐剤を投与することによって吐き気の予防を行いますが、どうしても食事が取れない場合もあるかもしれません。その場合には、点滴や栄養剤の内服によって対応したり、料理の味付けを調整するなどで対応すると良いでしょう。
また、少量ずつでも食べられるという喜びを保つことを目的として、何かひとつでも食べられるものを用意しておくと良いでしょう。例えばフルーツの盛り合わせやスープ、アイスクリーム、シャーベット、ヨーグルトやプリン、ゼリーなどが挙げられますが、自分で食べられるものを用意するのがおすすめです。
食欲が低下している時には無理して食べようとせず、食べたいものを少しでも食べるようにしましょう。また、水分はしっかりと取るように心がけることも大切です。
治療を受けている間は、できる限り安静にして体力を温存しなければならない時もあります。しかし、運動ができる状況であれば、適度な運動を行うことによって体の代謝が活発になったり、免疫機能が高まったりすることが知られています。
ただし、急に激しい運動を始めるのではなく、まずはウォーキングやエルゴメーターなどの有酸素運動を20〜30分、週に3〜5回程度行うと良いでしょう。ストレッチなども身体機能維持のためにおすすめといえます。いずれにしても、主治医と相談しながら適度な運動を取り入れていくことが大切です。
治療の副作用などによって思うように動くことが難しい方もいるでしょう。そういった場合には、無理して運動をするのではなく、マッサージをしたり患部を避けたマッサージなどによって最低限の筋力維持を図るのがおすすめです。思うように動けない時でも、何かできることがないか主治医に相談してみると良いでしょう。
冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生し体内の養分を吸収することで、子実体(キノコ)を成長させるバッカク菌類のキノコです。チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生しているものは、希少価値が高いことで知られています。
古くから生薬として重用されてきた歴史があり、近年では、中国の陸上選手の栄養管理に取り入れられたことで、世界的に注目されました。これまでも研究により、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見されています。
天然物の冬虫夏草は大変希少です。現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものですが、品質や有用成分に差異はありません。人工培養の技術が誕生したにも関わらず、まだまだ希少価値が高い冬虫夏草は、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。そのため、購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
さまざまな治療を行うことによりがんを根治できたという流れが理想ではあるものの、中には再発する場合もあります。その場合には改めて治療を行う必要があります。
転移のない場合(StageⅠ)・セミノーマ
通常、再発15-20%程度と言われています。再発しても化学療法でほぼ100%治癒することができますが、予防的に放射線治療や化学療法を行うことがあります。予防的な放射線治療では、再発率は5%以下となりますが、長期間経過すると二次的な発がんリスクがあります。
引用元:北海道大学大学院医学研究院 神泌尿器外科学教室
http://toms.med.hokudai.ac.jp/patient/bladder/bladder04/
さらに、非セミノーマの場合や転移が見られる場合の再発率は症状や選択される治療方法によって異なってくるとされています。
精巣がんの手術を行った後に、リンパ節や他の臓器に再発が起こるケースがあります(大動脈周囲の後腹膜リンパ節や肺に転移しやすいとされています)。もし転移した場合には、まず疲れやすい、体がだるいといった症状が見られることがありますが、どの部位に転移するかによっても症状が変わってきます。
例えば、お腹のリンパ節への転移が見られる場合には、お腹や腰に痛みを感じたり、お腹のしこりを感じたりしますし、肺への単位が見られる場合には息切れ、咳や痰の症状が出てくることがあります。
再発が見られた場合でも、早期発見であれば化学療法を2〜3ヶ月行います。そのため、早期発見できるように経過観察をしっかりと行っていくことが大切です。
再発が見られ再度治療が必要になった場合には、医師の指示に従って通院し、治療を受けます。もし気になる症状があれば速やかに主治医に相談をしましょう。
また、治療により状態が良くなったとしても自己判断で通院や治療をやめることはせず、定期的な通院を行うようにしてください。
精巣がんは病理学的に「セミノーマ」と「非セミノーマ」の2種類に分類されています。ここでは、それぞれの5年生存率について紹介します。
ステージ | セミノーマ | 非セミノーマ |
---|---|---|
Ⅰ期 | 95%以上 | 90%以上 |
Ⅱ期 | 80〜90% | 70〜80% |
Ⅲ期 | 30〜40% | 10〜20% |
参照元:東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター
http://www.twmu.ac.jp/KC/Urology/disease/cancer/testicle/