クリニック名 | 藤沼医院 |
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所在地 | 栃木県河内郡上三川町梁347 |
電話番号 | 0285-53-7105 |
※全国対応可能
甲状腺がん再発予防のための治療法や副作用、免疫機能を高める日常生活のポイントなどをご紹介します。
甲状腺とは、のどにある重さ10~20gの臓器です。蝶のような形が特徴。のどぼとけのすぐ下、気管の前にあります。甲状腺の裏側にあるのは、「反回神経」。声を出すために必要な神経です。甲状腺の一部にできる悪性の腫瘍を甲状腺がんと言います。
甲状腺がんは、自覚症状がほとんどありません。しこりができますが、気にしていないと気付かないでしょう。検診や他の疾患の診察を受けたときに偶然発見されることが多いです。進行すると、近くにある反回神経に影響が生じるため、声がかすれたり、呼吸に違和感が生じたりすることがあります。嚥下時の違和感が起こっているときは、食道まで浸潤している可能性が高いです。稀に頸部の腫れが急速に進行し、未分化がん、悪性リンパ腫が発見されることがあります。
2018年に日本で甲状腺がんと診断されたのは、18,636例でした。
甲状腺がんの検査方法は、触診と超音波(エコー)です。甲状腺の周辺を視診し、直接触って診察します。超音波検査では、臓器から返ってくる反射の様子を画像にして、甲状腺の大きさや内部にあるしこりの性質を観察。周囲の臓器との位置も重要な判断材料です。これらの検査で甲状腺がんの疑いがあるときは、CT検査、シンチグラフィ検査、病理検査(穿刺せんし吸引細胞診)などでより精密な検査を実施します。
がんの治療成績を示す指標のひとつが生存率です。診断から一定期間経過した時点で生存している割合のこと。がんの場合は、診断から5年後の5年生存率が使われることが多いです。また、死因に関係なくすべての死亡を計算に含める「実測生存率」とがんのみによる死亡を計算した「相対生存率」があります。
甲状腺乳頭濾胞がんについて、2013年~2014年の5年生存率(相対生存率)は以下の通りです。
Ⅰ期 | 98.9% |
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Ⅱ期 | 100.0% |
Ⅲ期 | 100.0% |
Ⅳ期 | 91.1% |
参照:がん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」(https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2013-2014&elapsed=5&type=c16#h-title)
甲状腺未分化がんは以下の通りです。
Ⅳ期 | 6.6% |
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参照:がん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」(https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2013-2014&elapsed=5&type=c17#h-title)
日本の甲状腺がんの90%以上がおとなしい癌と言われている「乳頭がん」です。進行しないケースや消失してしまうものもあります。ただし、高齢になると、周囲への広がりや遠隔転移、未分化がんに変化する率が高くなります。未分化がんになると、5年生存率が著しく低下することに注意が必要です。
治療方法は手術による切除が中心。遠隔転移がある場合でも、甲状腺を全摘してアイソト-プ治療(放射線治療)が選択されるケースが多いです。1cm以下の微小がんは、進行しない可能性があることから、手術をおこなわず、経過観察するケースも少なくありません。
甲状腺がんの多くは、克服が可能です。早く見つけることで治療の選択肢も多くなります。早期発見と再発予防が大切です。
甲状腺がんは、乳頭がん・濾胞がん・低分化がん・髄様がん・未分化がん・悪性リンパ腫に分類されます。術後補助化学療法は、未分化がんで手術を行った患者さんを主に対象としています。抗がん剤による化学療法と放射線療法を、単独または併用した治療が一般的です。
甲状腺がんに対する術後補助化学療法の副作用は、使用する薬剤や治療方法によって異なりますが、だるさや疲労感、食欲不振などがあげられます。
手術後は甲状腺ホルモンが減少するため、代謝が悪くなり、体のだるさ・疲れ、食欲不振など、漠然とした体の不調を感じていることでしょう。術後補助療法は、再発予防効果が期待できる反面、心身への負担が増します。既に感じる日常生活の不便さに、副作用のダメージが加わることを考えれば、不安を感じるのも当然です。
ただし抗がん剤の副作用は、無限に続くわけではありません。副作用の様子をみながら、少しずつ生活を取り戻していきましょう。日常生活のなかで、体力や免疫機能を改善していくのがポイントです。
甲状腺がんの患者さんの食事は、基本的に制限がありません。バランスの良い食事を心がけてください。のどに違和感がある場合には、少しずつよく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
また、放射性ヨード内用療法を行う前後だけは、ヨードの摂取を制限する必要があります。医師の指示に従った食事を摂るようにしましょう。
甲状腺がんの手術後、喉の違和感や食欲不振で満足に食事がとれない場合は、無理して食事内容にこだわる必要はありません。まずは、経口補水液などで脱水を予防しましょう。
バランスや量を考えるのは、体調が落ち着いてからでも遅くありません。食べられるものを少しずつ摂取してみましょう。
甲状腺がんの患者さんの場合、基本的に運動の制限はありません。術後は日常生活を元通りにすることを目標とし、少しずつウォーキングやヨガ、筋力トレーニングなどで、運動量を増やしていくとよいでしょう。
予後の良いがんとはいえ、手術後は日常生活の動作さえも辛い時があるかもしれません。その場合は、無理をせず、手足をさすったり、マッサージしたり、無理のない範囲で動かしたりするだけでも、筋力低下対策やリフレッシュにつながります。
また、日光浴したり、腹部を温めたりすることも、がん治療で低下した免疫機能の改善に役立つのでおすすめです。体調が落ち着いてきたら少しずつ体を動かす機会を増やしていけば、体力や免疫機能の向上を図ることができます。
がんの再発予防には、抗がん剤や放射線による治療だけでなく、患者さん自身がもっている免疫力を高め、正常に機能させることが大切です。
がんによって、免疫細胞のはたらきが抑制されてしまうことが、がんの増殖や再発につながります。そのため、免疫細胞を元気にすることで、がんへの攻撃力が増強され、再発予防が期待できるというわけです。
食欲不振や疲れやすさなど術後の生活の不調も、免疫の低下が原因の一つ。おいしく食事ができるようになる、気持ちよく体を動かせるようになる…と生活の質をアップさせていくことが、免疫機能の正常化につながり、再発予防の一環になります。
私の医院では、がんの再発を予防する代替療法のひとつとして、免疫機能改善効果が期待できる「冬虫夏草」を取り入れています。甲状腺がんによって低下した免疫機能を回復し、甲状腺がんの再発予防につながる可能性があります。
冬虫夏草とは、昆虫に寄生して生長するキノコです。古くから滋養強壮剤として重用されてきた歴史があります。その後の研究により、β-グルカンやメラトニンなどの有用成分が発見され、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できることが示唆されました。
チベットやネパールなどの高山帯で採集される天然物の冬虫夏草は、大変希少です。現在商品化されているものは、人工培養によるものが主流ですが、効用は天然物と差異はなく、比較的手に入りやすいため人気となっています。
しかしながら、今もなお希少価値が高い冬虫夏草は、偽物や粗悪品の流通が問題となっています。そのため、購入する際には、安全性や品質管理がしっかりしている信頼できる製造元を選ぶことが大切です。
甲状腺がんの手術を受けた場合でも、がんの状態によっては再発や転移が起こる場合があります。甲状腺がんの再発率やその部位、再発後の治療や生活への影響などについてみてみましょう。
甲状腺がんの多くは進行が比較的遅く、手術後年月が経ってから再発が確認されることがあります。初回治療後のリンパ節再発や遠隔転移は少なくなく、10年で10%程度です。
甲状腺がんの再発・転移は、ほかのがんと異なり、肺や骨、肝臓などの他臓器への再発・転移は少ないといわれています。再発・転移は、甲状腺やその周辺のリンパ節に多くみられます。
甲状腺がんの再発後の治療は、患者さんの状態や再発部位によって、再手術、放射線治療(内照射・外照射)、抗がん剤治療が検討されます。
甲状腺がんの再発後の生活では、定期的な通院が必要です。特にがんの種類によっては、10年~20年経ってから再発する可能性があるため、長期の経過観察が不可欠となります。
また、手術後に首の傷が目立つ場合があるため、気になるときはスカーフなどで隠すなどの工夫が必要です。
がん | 実測生存率 | 相対生存率 |
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全がん | 58.8% | 66.4% |
甲状腺がん合計 | 89.1% | 92.8% |
甲状腺がんⅠ期 | 98.5% | 100% |
甲状腺がんⅡ期 | 96.4% | 100% |
甲状腺がんⅢ期 | 93.5% | 98.8% |
甲状腺がんⅣ期 | 69.1% | 73.1% |
甲状腺がんの中でも、乳頭がんは予後が非常によく、未分化がんは予後が不良です。甲状腺がん全体で見ると、5年生存率は非常に高い数値ですが、未分化がんに限定すると、10%程度になります。
数値におびえず、自分の体調に合わせた前向きな生活を送り、免疫力の回復・維持を図りましょう。甲状腺がんの再発予防に役立つ可能性があります。