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子宮体がん

藤沼秀光先生
このページの監修者
がんへ心身医学療法で
アプローチする医学博士
藤沼秀光先生
クリニック名 藤沼医院
所在地 栃木県河内郡上三川町梁347
電話番号 0285-53-7105

※全国対応可能

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子宮体がん再発予防のための治療法や副作用、免疫機能を高める日常生活のポイントなどをご紹介します。

子宮体がんとは

子宮は、胎児を育てる部分と分娩の時に産道として機能する部分があります。胎児を育てる部分が子宮体部、産道になる部分が子宮頚部です。子宮体がんは、子宮体部に発生するがんのこと。子宮体がんの多くは子宮内膜から発生しています。別名は子宮内膜がん。子宮内膜は、卵巣から分泌される卵胞ホルモンの作用を受けて月経を起こす組織で、子宮体部の内側にあります。

子宮体がんの症状

子宮体がんの自覚症状で最も多いのは、不正出血です。月経ではない期間の出血には注意が必要。特に子宮体がんは比較的高齢でできることが多いため、更年期や閉経後に不正出血があるときは注意してください。出血の状態は、おりものに血が混ざる程度のこともあります。

排尿時の痛みや性交痛、下腹部の痛みも症状のひとつです。腹部の膨満感が生じることもあります。気になる症状があれば、早めに婦人科を受診してください。

子宮体がんの罹患数

子宮体がんの診断数は2018年で17,089例でした。人口当たりの罹患率は、人口10万に対し26.3例です。

検査方法は、「子宮内膜細胞診」が一般的。子宮の内部に細い棒状の器具を挿入し、細胞を採取する方法です。疑わしい場合は、さらに組織を採取して、精密な診断します。子宮の中に器具を挿入することが難しいケースで実施される検査方法は、超音波検査で子宮内膜の厚さを測る方法です。子宮体がんになると子宮内膜の厚みが増すことから、検査方法としては有効ですが、初期のがんは見つかりづらい可能性があります。

子宮体がんのステージ別生存率

がんの治療成績として指標になるのは、生存率です。診断されてから一定期間経過した時点での生存の割合のことですが、がんの場合は5年後の数値として5年生存率が使われます。生存率で使われるのは、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた「実測生存率」とがんいがいの死因を除く「相対生存率」です。

2013年~2014年の5年相対生存率は84.2%でした。

各ステージにおける相対生存率は以下の通りです。

Ⅰ期95.5%
Ⅱ期88.9%
Ⅲ期68.1%
Ⅳ期22.1%

参照:がん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」(ttps://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2013-2014&elapsed=5&type=c14#h-title)

早期発見が重要であることが分かります。

子宮体がんを克服するためには

子宮体がんの治療は、手術が中心です。病気の進み具合によって、子宮、卵巣・卵管、リンパ節などを摘出します。腹腔鏡下手術やロボット手術も保険が適応できるので、施設によっては低侵襲な手術も受けられます。

手術により再発危険因子がみつかった場合や診断の時点で手術が困難な場合に採られる治療方法は、抗がん剤治療や放射線治療です。子宮を温存し妊孕能を維持したいと希望する場合でステージやがんのタイプが適応であれば、ホルモン剤による治療を選ぶこともあります。

子宮体がんは、子宮にとどまっているうちに治療すれば、治りにくいがんではありません。上記で紹介したデータを見ても、早期発見と再発予防が重要です。

子宮体がんの再発予防のための治療

子宮体がん手術後の薬物療法

子宮体がんの再発リスクが中程度以上の患者さんに対して、細胞障害性抗がん薬が提案・推奨されています。パクリタクセルとカルボプラチンを併用する方法(TC療法)やアドリアマイシンとシスプラチンを併用する方法(AP療法)が主流です。

再発リスクが高いと判定された方や、細胞障害性抗がん薬で充分な効果が見られなかった場合には、ホルモン療法(内分泌療法薬)も取り入れられます。

いずれも患者さんの状態や副作用の有無などを考慮し、体調に合わせた方法で治療が行われます。

子宮体がん手術後の薬物療法の副作用

AP療法でみられる副作用は、吐き気・脱毛・腎障害・白血球減少などがあります。また、TC療法では、脱毛・しびれ・筋肉痛・関節痛・皮膚障害・アレルギー・白血球減少・吐き気・嘔吐・爪の変化などがあります。

ホルモン療法は化学療法と比べて副作用が低いですが、血栓症のリスクが高まると言われています。脳梗塞や心筋梗塞など既往歴がある方にはおすすめできません。

副作用が不安な方へ

藤沼秀光先生
藤沼秀光先生
監修医師からのコメント

術後補助療法は、効果が期待できる反面、心身への負担が少なくありません。子宮体がんの手術後には、むくみや排尿トラブル、更年期障害のような症状が出ることもあります。既に標準治療によるダメージを受けた状態に、副作用が加わることを考えると不安になって当然です。

抗がん剤の副作用は、短期的なものとしびれなど長期に亘るものもあります。副作用の様子をみながら、基礎体力をつけ免疫機能を改善していき、日常生活は徐々に取り戻していきましょう。

子宮体がんの再発予防のための日常生活の工夫

子宮体がんの方の食事ケア

子宮体がんの方の食事は、特に制限がありません。栄養バランスを意識しながら、おいしく楽しく食べることが大切です。ただし、開腹手術や放射線療法を受けている場合には、腸閉塞を起こす場合があるため、消化しにくいものや食物繊維が多いものは控え、よく噛んで食べるようにしましょう。

思うように食事ができずお悩みの方は

子宮体がんの手術直後の痛み、更年期障害のような諸症状、抗がん剤治療による副作用で、食事がままならない場合は、無理に食事内容をこだわる必要はありません。

食べられないことへの不安もあると思いますが、まずは、経口補水液などで脱水を予防し、食べられる時に食べられるものを少しずつ摂取してみましょう。バランスや量を考えるのは、体調がもう少し落ち着いてからでも遅くありません。

子宮体がんの方の運動

子宮体がんの手術後は、焦らず少しずつスタートさせるのが望ましいとされています。運動を始める目安は、家事などの日常生活が元通りにできるようになってからがよいでしょう。散歩やヨガ、スクワットなど、負荷が比較的軽いものから始めるのがおすすめです。

思うように動けずお悩みの方は

子宮体がんの手術後の痛みや違和感、更年期障害のような心身の不調がある時は、無理に運動することはありません。手足をさすったり、マッサージしたり、無理のない範囲で動かしたりするだけでも、筋力低下対策やリフレッシュにつながります。

また、日光浴したり、腹部を温めたりすることも、がん治療で低下した免疫機能の改善に役立つのでおすすめです。体調が落ち着いてきたら少しずつ体を動かす機会を増やし、体力をつけて免疫機能の回復を図りましょう。

生活の質を上げながら再発予防に取り組もう

藤沼秀光先生
藤沼秀光先生
監修医師からのコメント

国内のがん治療は手術・抗がん剤・放射線治療が主流となっていますが、第4の治療法として近年注目されつつあるのが、患者さん自身の免疫力を利用した治療です。

免疫力でがんを治療するという方法は、体に必要以上のダメージを与えなくて済む可能性があります。免疫力は様々な要因によってバランスが変化し、特に生活の質が深く関係しています。おいしく食事ができる、気持ちよく体を動かせる、日常生活がストレスなく送れるなど、自分の体調にちょうどよい質の生活をすることで、免疫機能が正常にはたらき、がんの再発予防が期待できます。

私の医院では、がんの再発を予防する代替療法のひとつとして、免疫機能改善効果が期待できる「冬虫夏草」を取り入れています。病気で低下した免疫機能を回復し、がんの再発予防につながる可能性があります。

冬虫夏草とは

冬虫夏草とは、昆虫の体内に寄生して、菌糸体(根)を形成し、体内の養分を吸収することで子実体(キノコ)となる植物です。元々は、チベットやネパールなどの高山帯に生息するオオコウモリガの幼虫に寄生して生長するものを、冬虫夏草と呼んでいました。しかし、現在では特定のものではなく、セミやトンボ、蚕などの昆虫に寄生して発生するキノコの総称となっています。日本国内でも数百種類の冬虫夏草が存在します。

冬虫夏草は、免疫機能改善作用や、抗がん作用が期待できる有用成分が発見されており、世界中で研究が進められています。

天然物の冬虫夏草は大変希少であるため、現在商品化されているものは、多くが人工培養によるものです。今なお偽物や粗悪品が流通していることが問題となっており、購入にあたっては、安全性や品質がしっかりしている製造元を選ぶことが大切です。

がんへの働きが期待される
冬虫夏草とは?

子宮体がんの再発を知る

子宮体がんの手術を受けた場合でも、がんの状態によっては再発や転移が起こる場合があります。子宮体がんの再発率やその部位、再発後の治療や生活への影響などについてみてみましょう。

子宮体がんの再発率

子宮体がんの再発は、治療後2~3年までに多く発生します。子宮を温存した場合に、子宮やその周辺組織に再発することもあれば、リンパや遠隔転移が起こることもあります。

※参照元:日本婦人科腫瘍学会編「患者さんとご家族のための子宮頸がん子宮体がん卵巣がん 治療ガイドライン 第2版」

子宮体がんの再発・転移しやすい部位

子宮体がんが再発・転移しやすい部位としては、骨・肝臓・肺・腹膜・膣などが挙げられます。

子宮体がんが再発するとどうなる?

再発後の子宮体がんの治療

子宮体がんの再発がみられた場合、初回治療で放射線を照射していない部分であれば、放射線治療を行います。状態によっては、抗がん剤の併用も検討されます。

初回治療で放射線を照射した部分に再発した場合は、抗がん剤治療が選択される場合が多く、状態によって支持・緩和ケア療法が行われることもあります。

再発後の暮らし

子宮体がんの手術後や再発・転移後は、合併症や後遺症の早期発見や早期治療のために、定期的な検査が必要です。

広汎子宮全摘出術を受けた場合、排尿障害が起こりやすくなります。多くの場合、手術後数週間から数か月である程度の改善が期待できます。しかし、術前と全く同じようにはいかないこともあるため、尿をためすぎない、強くおなかを押さない、一定の間隔で排尿するなどの注意が必要です。

また、卵巣の機能が失われることによって、更年期障害のような症状(ほてり・発汗・食欲低下・だるさ・イライラ・頭痛・肩こり・動悸・不眠・膣分泌液の減少・骨粗しょう症・高脂血症など)が現れることがあります。必要に応じて、ホルモン療法薬や漢方が処方されることがあります。

子宮体がんの生存率

がん 実測生存率 相対生存率
全がん 58.8% 66.4%
子宮体がん合計 79.1% 82.2%
子宮体がん(体部)Ⅰ期 93.3% 96.8%
子宮体がんⅡ期 87.6% 91.7%
子宮体がんⅢ期 70.4% 72.8%
子宮体がんⅣ期 21.4% 22.3%

子宮体がんは、定期的な検診を受けることで早期発見がしやすく、万が一再発してしまっても早期治療が受けやすいため、ほかのがんに比べて生存率が高いと考えられます。再発予防には、規則正しい生活を送ることで、体調や免疫力の維持や回復を図ることが大切です。禁煙や節酒、バランスの良い食事や運動などを整え、生活の質を高めていきましょう。

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス|生存率集計2010-2011年数値 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html

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