がんの治療としては手術や化学療法、放射線治療が一般的ですが、その治療の補助的な役割として漢方療法が用いられることがあります。ここでは、漢方療法はどのような役割を持つのか、費用はどのくらいかかるのかなどを紹介します。
漢方治療の役割は、自然治癒力を回復、向上させることで免疫力をアップさせることです。そのため、がん手術後のケアや治療の補助、がんの再発予防を目的として行われます。
手術や化学療法である程度がんを取り除いたとしても、わずかながん細胞が再発の要因となってしまいます。がんに対する抵抗力や治癒力の低下や新陳代謝が低下した状態だと、再発のリスクが高くなります。再発を予防するためには、免疫力を高めることが重要です。漢方薬や生薬には免疫力を向上させる働きがあり、それによりがん体質を変えることが出来ます。
体質改善に繋がる感応薬の作用を挙げてみましょう。
参照元:がんサポート|治癒力を引き出すがん漢方講座 第16話 再発予防における漢方治療の役割(https://gansupport.jp/article/treatment/alternative/kampo/4235.html)
また、免疫を上げるためには、漢方薬だけでなく食事や睡眠、運動など規則正しい生活を送ることも大切です。
薬用人参や十全大補湯などの生薬や漢方薬には、抗炎症作用やフリーラジカルの産生を抑制する作用があり、発がん抑制効果があることが明らかになっています。
抗がん剤治療である化学療法では、腎不全や貧血、消化器の症状などなど様々な副作用を引き起こします。がんの症状だけでなく治療による副作用でも苦しむことになるため、治療を途中で断念する人も少なくありません。そこで注目されているのが、漢方薬による副作用対策です。
漢方の種類 | 作用 |
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牛車腎気丸 | 手足のしびれ改善 |
十全大補湯・補中益気湯 | 「気」を補う |
六君子湯 | 食欲不振や胃もたれなどの消化器症状 |
参照元:日本漢方生薬製剤協会|がん治療と一緒に漢方を (https://www.nikkankyo.org/kampo/colume/pdf/016.pdf)
子宮がんや卵巣がんの抗がん剤治療で必ず発生する手足のしびれ。その副作用を抑える効果が、神経を守る働きをする牛車腎気丸にあることが明らかになっています。がん治療でかかる体への負担を、元気、気力、体力、食欲などの「気」を補うことで改善するというわけです。
このように、漢方薬には抗がん剤治療の副作用を抑える効果も期待できるのです。
がん治療は、全身倦怠感や食欲不振、不安など様々な症状・苦痛に悩まされます。これらの症状を軽減させ、QOL(quality of life)を改善、高めることが漢方治療に期待されています。
漢方の種類 | 作用 |
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四君子湯 | 食欲不振や無気力に作用 |
六君子湯 | 食欲不振や嘔吐など消化器症状に作用 |
十全大補湯 | 体力・気力の衰弱に作用 |
人参養栄湯 | 鎮咳、去痰など呼吸器症状に作用 |
加味帰脾湯 | 精神的な障害による不眠や食欲低下に作用 |
加味逍遥散 | 精神情緒が不安定な時に作用 |
参照元:クラシエ薬品|癌の漢方治療 (https://www.kampoyubi.jp/learn/practice/14.html)
漢方療法は、保険診療と自由診療で費用が変わります。
十全大補湯などのエキス剤など、保健の対象となるものは月2,000円~4,000円程度の費用となります。
漢方療法の多くは、保健の対象とはならず自由診療扱いとなってしまいます。自費となってしまうため、費用は1日800円~2,000円程度かかります。