免疫力を高めるはたらきがあるとされ、がんの再発予防や代替療法に役立てられている冬虫夏草。がんへのはたらきで注目したい成分はどのようなものなのでしょうか。冬虫夏草の力を効率よく取り入れる方法をふまえながら詳しくご紹介します。
β-グルカンは、多糖体の一種で、食物繊維の仲間です。免疫機能を司るマクロファージやNK細胞、T細胞、B細胞などを活性化させるはたらきがあります。同時に免疫関連物質であるインターフェロンの生成を促進させることで、がんによって低下している免疫機能の向上が期待でき、再発予防につながると考えられています。
β-グルカンは、免疫機能の活性化にはたらき免疫力を高めることで、がん細胞の増殖や転移を抑制したり、再発を予防したりという、抗腫瘍作用が期待できます。また、がん細胞による異常な血管新生を阻害することも実験によって明らかにされているようです。
参照元:[PDF]ユニチカ株式会社公式HP
http://www.unitika.co.jp/news/io-pdf/00129.pdf
コルジセピンは、冬虫夏草に含まれる特有の成分です。中医学で古くから滋養強壮剤として冬虫夏草が用いられてきたのは、コルジセピンの作用によるものといわれています。DNAやRNAの核酸を構成するアデノシンと化学構造が似ているため、体内に吸収されやすく、滋養強壮をはじめとした、健康に有用なはたらきをもたらしていることが解明されています。
マンニトールは、糖アルコールの一種です。体内でほとんど代謝を受けないため、尿細管の浸透圧が上昇し、水分の再吸収が抑制されることで利尿作用を発揮します。がん治療中の副作用による乏尿を予防し、腎障害を防ぐ作用があります。利尿剤として点滴薬にも用いられている成分です。
メラトニンには、強い抗酸化作用があります。その強度は、抗酸化ビタミンといわれているビタミンEの6~10倍にもなるようです。細胞壁の内側に届く数少ない抗酸化物質であり、活性酸素によるダメージから細胞を守ることで、がんの予防に役立つことが期待されています。
メラトニンは、脳内の松果体から分泌されるホルモンの一種です。体内時計を正常に整えることで睡眠の質を高めたり、脳神経伝達物質のアドレナリンやドーパミンの分泌にはたらきかけたりします。この作用により、がん治療中の不安定になりやすい精神健康や体調不良など、心身両面のストレス緩和やうつ症状の軽減に役立つとされています。
冬虫夏草の効用を無駄なく取り入れるためには、冬虫夏草の特定部位だけでなく、二次代謝物を含めて、まるごと摂取したほうがよいという研究結果があります。
二次代謝物とは、植物や昆虫の体内で起こる代謝の過程で、酵素や補酵素の作用によって作り出されるものです。生命活動に必要ないものの、人間の健康にとっては有用である物質とされています。冬虫夏草の場合、消化管免疫調節物質やがん細胞抑制物質などが確認されているようです。
冬虫夏草を配合した製品には原型のほか、粉末や錠剤など、様々なタイプがあります。特定の成分のみを濃縮したり抽出したりしている製品もありますが、二次代謝物に含まれる有用成分のはたらきを考えると、冬虫夏草の栄養をしっかりと摂り入れるためには、培地・菌糸体・子実体・二次代謝物すべてを配合したものを選んだほうが、より効果が期待しやすいといえそうです。
冬虫夏草と並び、がんの代替療法で注目されているものに、フコイダンとアガリクスがあります。それぞれどのような成分なのかチェックしてみましょう。
フコイダンは、コンブやワカメなどの海藻に含まれる粘液質です。フコイダンの主成分は「硫酸基」とよばれ、免疫機能を活性化するほか、抗アレルギー作用、抗がん作用、抗ウイルス作用、胃粘膜の保護、ピロリ菌除去効果など、様々な効果が期待されています。フコイダンは、水溶性食物繊維の仲間であり、余分なコレステロールや糖の排出、血圧を下げる効果、整腸作用なども報告されています。
参照元:内閣府認証 特定非営利活動法人 NPOフコイダン研究所
https://www.fucoidan-life.com/basicexperiment/expect/
アガリクスは、ハラタケ科のキノコで、マッシュルームの仲間です。アガリクスには、ビタミンB2、ビタミンD、マグネシウム、カリウムなどが含まれています。がんへのはたらきが期待されるβ-グルカンを6種類も含んでいるのが特徴です。また、ビタミンDの前駆体で、がん細胞の増殖抑制作用があるとされるエルゴステロールも豊富に含まれています。
参照元:AgriKnowledge:キノコのステロール化合物によるがん細胞増殖抑制作用
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014975