希少なものとされている冬虫夏草。冬虫夏草には様々な種類があり、天然物は大変高価で手に入れることが困難です。そのため、冬虫夏草の商品化は、人工培養した冬虫夏草を利用するのが主流となっています。培養方法によって、形状や使用部位、品質などが異なります。安心して摂取できる冬虫夏草の選び方をふまえてご紹介します。
冬虫夏草は、昆虫の体内に寄生・増殖した菌類によって、昆虫の体から生えてくるキノコの総称です。生物学的な分類はありますが、厳密ではありません。
冬虫夏草は、寄生する昆虫によって種類が異なるのが特徴です。例えば、セミの仲間に寄生した場合は、エノキダケのような形、ガの仲間に寄生した場合は、ツクシのような形の冬虫夏草が発生します。そのほか、ツチダンゴやカイガラムシをはじめ、様々な昆虫に寄生することが知られています。
現在、人工培養によって商品化されている冬虫夏草は、天然に近い形の昆虫生体培養、穀物などの培地を使った培地培養、化学薬品を使って菌糸体(根)のみを培養するタンク培養が主流となっています。
昆虫生体培養は、生きた昆虫に菌を寄生させて培養するため、菌糸体(根)と子実体(キノコ)が発生します。天然物に近い冬虫夏草になるのが特徴。商品化での使用部位は、菌糸体と子実体両方を使ったものと、子実体のみを使ったものがあるようです。
培地培養は、玄米などの穀物を培地に菌を撒いて培養させます。昆虫生体培養と同じく、菌糸体と子実体が発生。昆虫に寄生させないので、培地・菌糸体・子実体すべてを利用できるのが特徴です。
タンク培養は、化学薬品を使い、糖分などを作用させることで菌糸体を培養します。他の培養方法と違い、子実体の形成はありません。
様々な有用成分が含まれている冬虫夏草。健康食品の中には、特定の成分のみを抽出・濃縮した商品もありますが、冬虫夏草は生長過程で生じる代謝物にも有用成分が含まれているのが特徴です。そのため、一部分だけでなく、キノコ本体・菌糸体・代謝物などを含め、まるごと摂取するほうが、より効率的に有用成分を取り入れることができます。
冬虫夏草は、希少なキノコであるがゆえに、偽物や粗悪品の流通が後を絶ちません。悪質なケースでは、冬虫夏草の中に鉛やカドミウムなどの有害重金属を混入しているものも報告されているようです。身体のために利用する冬虫夏草が、かえって健康を害してしまうリスクも考えられます。
冬虫夏草を選ぶ際には、安全性と品質管理がしっかりとしているものを選ぶことが大切です。国が定める安全と品質の基準をクリアしたものにはGMPマークが与えられているので、製品を選ぶ際の参考にするとよいでしょう。