抗がん剤治療中のがん患者は温泉に行ける?温泉で気を付けることは?がん患者におすすめの温泉は?など、がん患者さんやご家族が、気兼ねなく安心して温泉を楽しむために知っておきたいことをまとめてご紹介します。
抗がん剤治療によって受ける心身のストレスは、個人差はあるにせよ、決して軽いものではありません。ストレスを溜め込んだままにしていると、様々な不調につながる場合もありますので、適度な気晴らしは大切です。
温泉を楽しむことは抗がん剤治療中であっても基本的には問題ありません。体調とよく相談しながら、無理のない計画であれば、よいストレス解消になりますし、抗がん剤治療を頑張る活力にもつながることでしょう。
長時間の移動やいつもと異なる環境などで、体調変化が心配な場合には、事前に主治医に相談しておくと安心です。
ラジウム温泉とは、別名「放射能泉」とよばれています。温泉水中にラドンという放射性物質を含んでいるのが特徴です。放射能といっても、レントゲンの放射線量よりもはるかに微量であり、慢性疾患の症状緩和や免疫力・治癒力の向上など、健康にとってよい影響を与えるとされています。
※参照元:「温泉検索どっとこむ」(https://www.onsen-k.com/onsenguide.html#senshitu11)
玉川温泉は、秋田県仙北市にあるラジウム温泉です。古くから湯治客でにぎわっています。源泉かけ流しの温泉は、pH1.2の強酸性と微量のラジウム放射線を含む泉質が特徴です。免疫力や治癒力の向上、疲労回復などの効果が期待されています。
※参照元:「玉川温泉HP」(https://www.tamagawa-onsen.jp/care/effect.html)
化学療法中、放射線療法中の入浴は、体調が悪くなければ問題ありません。体を温めることによって、しびれや痛みが緩和につながります。
放射線治療中の場合は、治療位置のマーキングを消さないように注意が必要です。治療によって皮膚が過敏になっていることも考えられるため、なるべくマーク部位は触らないようにしましょう。
ただし、温泉によっては、がんが禁忌症となっている場合があるので、事前の確認をおすすめします。
乳房切除によって、外見が気になるという場合には、家族水入らずで、のんびり入浴できる家族風呂がおすすめです。
また、乳がん患者が気兼ねなく利用できる、サービスやホスピタリティをそろえた「ピンクリボンのお宿」を選ぶのもよいでしょう。貸切風呂、露天付客室、入浴着使用可能、1人1室宿泊、食事相談など、乳がん患者が安心して滞在できる環境が整えられているのが特徴です。全国100か所以上の宿が登録されています。
ストーマを装着しての温泉利用については、入浴用キャップやミニストーマ袋、保護シートなどを使うことで、ストーマを目立ちにくくしたり、漏れにくくしたりできます。
大浴場を利用しにくいという場合には、貸切風呂や露天付客室を選択するのも一つの方法です。
いずれの場合でも、ストーマ内の排泄物はトイレに流す、使用済みのストーマ袋を脱衣所のゴミ箱に捨てないなど、基本的な処理をきちんとすることで、気持ちよく温泉を利用することができるでしょう。
抗がん剤治療中で、ウィッグを着用していても、そのまま温泉利用が可能です。しかし、着用しているウィッグの毛質が人毛100%の場合は、湿気でうねりが生じてしまうことがあります。気になる際には、入浴時のみ、人工毛か人毛ミックスのウィッグに替えるという方法をとるとよいでしょう。
温泉からあがった後は、汗や湿気でウィッグ内部が蒸れてしまっているため、部屋に戻ってから一度ウィッグを外し、頭を洗ったり、タオルで拭いたりすると、さっぱり清潔に保つことができます。
また、ウィッグを着用したままでの入浴に抵抗がある場合は、タオルやキャップを利用することで、見た目をカバーしつつウィッグなしでの入浴が可能です。
温泉に行きたいけれど、体調や身の回りのことが心配という患者さんは多いと思います。しかし、事前にしっかりと計画や準備を整えることで、抗がん剤治療中であっても、温泉を楽しむことが可能です。
温泉につかって、心身の疲れやストレスを解消することは、がんと闘っていくうえで重要な、免疫力の向上が期待できます。また、家族や友人たちとの楽しい時間は、これからの治療のモチベーションアップにもつながることでしょう。
※参照元:「CiNii単純泉における温泉療法による脱ストレス作用と免疫機能の変化」(https://ci.nii.ac.jp/naid/10008426056)