余命とは、残りの命、死ぬまでの期間という意味の言葉。日々、少しでも長く生きるために病魔と闘っている人にとって、それはあまりにも残酷で容赦のないものです。どんな人でも、少しでも長く生きたいと望むのは当然の願望。実際に余命宣告を受ければ、自分に残された時間を突き付けられてしまった気がしてショックを受けてしまうものでしょう。
しかし、そもそもがん患者や重篤な症状の患者が医師から宣告される余命というのはどういうものなのでしょうか? この言葉の表す実際の意味と、それに立ち向かうための心の持ち方、少しでも余命を伸ばすための方法などについて解説していきます。
医師から宣告される余命はどのように決められるもので、どれほど信頼性があるものなのでしょうか?
医師の宣告する余命というのは、がんに対する5年相対生存率や生存期間中央値などのデータに基づいて推測されるのが一般的。つまり、統計データから平均的な数値から割り出したものです。この統計の中には平均より長く生存した患者もいれば、平均よりも早く亡くなってしまった患者も含まれます。医師の経験などによってデータ平均よりも短く伝えられたり、逆に長く伝えられたりするケースもありますが、あくまでも推測でしかありません。
同じような症状や進行度であったとしても、人によって余命は大きく異なります。その患者があとどのくらい生きられるかは、担当医師であっても正確な予測は困難。ましてや「がんは治る病気」と言われるようになって久しい今日においては、末期の患者であっても余命を断定することは不可能です。
医師が余命宣告を決断したということは、それだけ病状が進行しているのは間違いないでしょう。とはいえ、その後病気がどれくらい回復するのかについては、誰も予測できないはず。医師の宣告する余命は、あくまでも病気の進行具合に対する指標のひとつと捉えておくのが賢明です。
では、余命を伸ばすためにはどんな方法が考えられるでしょうか? 病院でのがん治療以外に自分でできるものをいくつか紹介します。
長生きの基本は、健康的な生活習慣と食生活。病気と闘うための体力や免疫力を養うためにも、毎日の生活を見直してみると良いでしょう。
その際、「がんに効果的」「病気が治る」といった食品ばかりを摂るのではなく、身体を元気にするための栄養素を偏りなく摂取することが重要です。がんに対する影響を意識するあまり、健康な身体を支えるための栄養バランスが崩れてしまっては元も子もありません。
また、喫煙や飲酒などの習慣を改め、しっかり眠り、可能な範囲で身体を動かすように心掛けるなどの取り組みも大切。いきいきとした健康的な暮らしを心掛けるようにしましょう。
がん以外の不調ががんを引き起こし、悪化させてしまった可能性も考えられます。がん以外の体調変化にも気を配り、気がかりなことがあれば、症状に合った専門医に相談してみると良いでしょう。実際、がんとはまったく関係なさそうな病気を治療したことで、がんの治療効果が向上したというケースもあるようです。
また、がんの治療方針についてもセカンドオピニオンを受けるなどし、より多くの選択肢から自分に一番合っていると感じるものを選択することが重要。納得できないまま治療を受け続けるより、自分が良いと思える治療を受けた方が、より前向きな気持ちで治療に臨めるはずです。
「がんに効く」「免疫力を高める」と言われているサプリメントや健康食品を摂取するのもひとつの方法。近年では様々な食品や栄養素の健康効果に関する研究が進んでおり、がんに対する改善・予防効果が期待されているものもあります。
もちろん薬ではないので、摂取したからといって病気が確実に治るというものではありません。しかし、こういった製品によって何らかの改善が見られたという声があるのも事実。
体の調子を整えたり、ちょっとした悩みごとの改善に役立ったりするだけでも、症状の改善に繋がる可能性は十分に考えられます。病気の治療と並行して、自分にあったサプリメントを探してみるのも良いかもしれません。
「もう長くは生きられない……」と悲観しながら生きるのは辛いものです。あとどれだけ生きられるのか? という考えにとらわれ過ぎると、幸せに生きることから遠ざかってしまいます。
そもそも人間はいつか必ず死ぬもの。それが様々な要因によって長くなったり短くなったりするのは、がん患者に限った話ではありません。少しでも長く、少しでも幸せに生きることを目指し、前向きな気持ちで日々を充実させていくことが大切です。
昔から「病は気の持ち様」と言いますが、落ち込んでばかりいると身体も弱ってしまいます。なるべくストレスを遠ざけ、楽しい過ごし方を探すことも余命を伸ばすことに繋がるのではないでしょうか。
体調や治療内容によって行動が制限されるケースもありますが、できる範囲で自分のQOLを高め、少しでも体に良い事をするように心掛けましょう。