抗がん剤治療で生じる爪への副作用には、変色・変形・薄くなる・剥がれるなど様々な症状があります。その程度も、見た目の変化だけのものから、痛みを伴うものまで個人差があるようです。
爪に副作用がでやすい抗がん剤としては、フルオロウラシル・TS-1、カペシタビンなどの5FU系や、ドセタキセル・パクリタキセルなどのタキサン系が挙げられます。
こうした抗がん剤による治療中は、体調管理の一つとして、爪や手の保護や乾燥ケアを心がけるとよいかもしれません。
手洗い後や入浴後に、爪用のオイルやクリームをなじませ、優しくマッサージします。その後、絆創膏や爪テープを巻いて保護することで、引っ掛けやひび割れなどから爪を守ることができます。爪テープは、ロール状になっており、必要に応じて長さや大きさを調整できるテープです。絆創膏と違い、テープ同士が接着して固定されるため、張り替え時の爪への負担が小さいのがメリットです。ドラッグストアや100円ショップなど、身近な場所で購入しやすいのも使いやすいポイントといえます。
ファッションアイテムであるマニキュアも、爪の保護に役立ちます。基本的には、自分の好みのもので問題ありませんが、落とす際に使用する除光液は、爪への刺激となるアセトンが入っていないものを選びましょう。マニキュアの中でも、水溶性マニキュアであれば、消毒用アルコールだけで落とすことができるのでおすすめです。
また、ネイルサロンで施術してもらうことも可能ですが、爪の表面を削るジェルネイルは、爪トラブルの悪化や感染症のリスクがあるため、避けた方がよいでしょう。
爪の伸ばしすぎはもちろんですが、逆に深爪もよくありません。入浴後など爪が柔らかい時に、正しい切り方で整えておくようにしましょう。
抗がん剤治療による爪への副作用が起こる理由として、皮膚の基底細胞の細胞分裂や増殖が障害されたり、メラノサイトが活発になったり、爪の成長が障害されたりすることが挙げられます。
また、免疫力や栄養状態が低下している状態にあることで、より重要性の高い器官が優先的に守られ、末端部分にある爪や毛髪に副作用が現れやすいという見解もあるようです。