抗がん剤治療の副作用である味覚障害は、食欲不振や体重減少を招き、体力や免疫力の低下につながる場合があります。ここでは、味覚障害で多く見られる3つのタイプを解説。タイプ別の調理ポイントをふまえた、おすすめのレシピもご紹介します。
抗がん剤治療の影響によって生じる味覚障害は、味覚を伝える神経伝達路の障害や、味を感じとる味蕾(みらい)細胞の機能低下によるものとされています。
味覚障害は、抗がん剤治療終了後、しばらくすると回復しますが、一時的であるにせよ、食事がおいしく食べられないことで引き起こされる、食欲不振やそれに伴う体力低下が問題です。
味覚障害による食欲不振の対応策として、自分がどのタイプの味覚障害かを把握することが大切です。がん患者さんにみられる代表的な味覚障害は次のようなタイプがあります。
自分のタイプを知ることで、毎日の食事の調理法や味付けを工夫できるようになるので、口に合う料理が増え、食欲不振の改善が期待できます。
実際と違った味を感じるタイプの調理ポイントは、苦みを感じやすいアクや臭みを抜くことや、だしの旨味や香味野菜などを活用することです。牛乳を使ってまろやかな口当たりに仕上げるのもおすすめです。
【材料】
アサリ・玉ねぎ・にんじん・じゃがいも・牛乳・ブイヨン・薄力粉・塩・こしょう
【作り方】
味を強く感じるタイプの調理ポイントは、味を強く感じやすい素材や調味料を控えることや、食べる時に自分で味を調整できるように、調味料やタレを別皿にすることです。塩味を控える分、旨味や酸味を活用するとよいでしょう。
【材料】
きゅうり・わかめ・ミョウガ・三杯酢
【作り方】
味を感じにくいタイプの調理ポイントは、香辛料や香味野菜を使って、塩分控えめながらもはっきりとわかりやすい味付けにすることや、料理の温度を人肌程度にして、味を感じやすくすることです。とろみやコクをつけると、味が口の中にまとわりつくので、味を感じやすくなります。
【材料】
温泉卵・にんじん・たけのこ水煮・さやえんどう・干ししいたけ・醤油・みりん・片栗粉
【作り方】
抗がん剤治療による味覚異常にはタイプがあるため、自分のタイプに合った調理法を取り入れることで、毎日の食事が食べやすくなります。
味覚異常の一番の問題は、食事をおいしく食べられないことによる食欲不振と、それに伴う体重減少や体力低下です。一度にたくさん食べられない場合には無理をせず、食事を数回にわけることをおすすめします。食べやすいものを食べられるときに食べられる分だけ摂るようにしましょう。
がんの治療を乗り切るためには、体力が必要です。体力を維持することで、免疫力低下の抑制にもつながるため、がんの再発予防の面から考えても、食事は重要な要素となります。味覚障害は治療が終われば回復するものが多いようです。深刻に考えてしまうと、余計に食事の味が落ちてしまいます。上手につきあいながら、自分に合った食事を摂るように意識してみましょう。