がんになったから、スポーツは控えないといけない…というのは昔の話。がん患者だからこそ、治療を乗り越えていくためには体力が必要。現在では、がん患者さんの心身の体力を養う方法として、スポーツが注目されています。がんとスポーツの関係や気軽にはじめやすい、おすすめのスポーツをご紹介します。
抗がん剤治療をはじめ、がんとの闘いには体力が不可欠です。がんだからといって必要以上に安静にしていると、手術や治療の際に必要な筋力や体力、持久力がなくなってしまい、思い通りの治療が受けられない場合もあるようです。
がん患者さんのスポーツは、基本的に医師から禁止されていなければ問題ありません。健康な頃と同じようにスポーツすることができます。どうしても不安な場合には、スポーツを始める前に、医師に相談してみるとよいでしょう。
ひと昔前までは、がん患者は体力温存を優先し、なるべく安静にするべきと考えられていました。しかし、現在、適切なスポーツは、治療効果や生存率の向上につながる可能性が示唆されています。
がん患者さんがスポーツから得られる効果には、倦怠感の軽減・筋肉量や骨量低下の軽減・精神健康の向上などが挙げられており、治療に耐えうる体力やモチベ―ジョンの獲得が期待できるようです。
ウォーキングは、特別な用具や場所を必要としないため、気軽に始めやすいスポーツといえます。景色を眺めながら風を感じて歩くのは、よい気分転換にもなるでしょう。スポーツジムであれば、好きな音楽を聴きながらマシンを使ってウォーキングするのもよいかもしれません。忙しくて時間がとれない場合には、買い物や移動などの時を利用し、いつもより少し多く歩いてみるという形のウォーキングがおすすめです。
筋力トレーニングの一つであるスクワットは、体の中で一番大きい下肢の筋肉を鍛えることができます。一度に大きな筋肉を動かすことができるので、正しいトレーニング方法を身につければ、少ないトレーニングでも高い運動効果が期待できるのが特徴。スポーツジムであれば、インストラクターに指導してもらうとよいでしょう。スポーツが苦手な方やあまり外出できない方、ロコモ予防をしたい方などにおすすめです。
深い呼吸と様々なポーズが特徴のヨガは、リラックスだけでなく体幹トレーニングの効果も期待できるスポーツです。リラックスすることで自律神経が整ったり、体幹にあるインナーマッスルの刺激で内臓が温められたりすると、免疫細胞のはたらきが活性化するといわれています。ヨガの効果は、がんの補完代替療法ガイドラインにも記載されており、難しいスポーツではないため、がん患者さんにもおすすめです。
がん患者さんがスポーツをすることは、手術や治療に耐える体力を養うだけでなく、闘病によって沈みがちな精神面の安定も期待できます。スポーツをすることは、免疫力のサポートにもつながるため、がんだからといって安静にし過ぎず、無理のない範囲でスポーツを楽しむことが、がんの再発予防に役立つといえそうです。