健康のために実践している方も多いヨガは、様々な研究によって、がん患者さんの体調維持や免疫力向上に役立つ可能性が示唆されています。がん患者さんが、ヨガを始める際に注意したいポイントや、自宅で気軽にできるヨガについてご紹介します。
がんに対するヨガの効用については、様々な研究が行われてきました。研究によって一定のエビデンス(科学的根拠)が報告されており、2016年から「がん補完代替医療ガイドライン」にも加えられています。
これまでに報告されているエビデンスによると、疼痛・倦怠感・睡眠障害といった身体症状の緩和や、不安・抑うつなどの精神症状の軽減が期待されているようです。
ヨガには、「自律神経のはたらきを整える」「インナーマッスル刺激による体温上昇」の効果が期待できます。免疫細胞のはたらきに深く関わっている自律神経と、免疫細胞が多く集まる内臓に熱を届けるインナーマッスルの刺激によって、免疫細胞が活性化しやすい体内環境に。その結果として、がんの再発予防が期待されているのです。
※参照元:「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス2016年版」(https://www.jspm.ne.jp/guidelines/cam/2016/pdf/cam01.pdf) 「Yogini|抗ウイルス!?ヨガが免疫力を上げるという科学的な理由」(https://yolo.style/yogini/article/563776/)
ヨガを行うにあたっては、体調に無理のない範囲で実践することがポイントです。腰や膝などに痛みがある場合や、骨転移が疑われる場合、ステロイド治療を受けている場合には、疼痛の悪化や骨折のリスクがあるため、負荷の大きいポーズは避けましょう。
高血圧や緑内障を患っている方では、頭部を低くするポーズは、血圧が上昇しやすいため、控えたほうがよいとされています。
また、その日の体調によって、めまいやふらつき、倦怠感を感じる場合には、転倒事故を防ぐため、バランスをとるポーズや立位のポーズは控えるか、慎重に行うようにしましょう。
「ヨガを始めたいけれど、スタジオに行くのは気が引ける」「自分のペースで自由にやりたい」「お金をかけないで楽しみたい」という場合におすすめなのが「お家ヨガ」です。
お家ヨガは、文字通り、自宅で好きな時間に自由に楽しむヨガのこと。本格的なスタジオに通わなくても、ポイントを押さえれば気軽に実践できます。
キャット&カウ…四つ這いのポーズから、息を吐きつつ背骨を一つずつ丸めていく。その後、息を吸いながら首から背骨にかけてゆっくり反らせていく。
合せきのポーズ…足を伸ばし、坐骨を立てるイメージでしっかりと座る。ゆっくりと膝を抱えたら、手を足の甲と裏に移し、本を開くようにして開けるところまで開く。10呼吸位で、最初のポーズに戻る。
仰向けの木のポーズ…マットに仰向けになり、つま先は天井に向ける。片足を立て、かかとをお尻に引き寄せる。引き寄せた足をゆっくりと外側に開く。10呼吸位したら、足を戻し、反対側も同様に行う。