近年の研究によって、がんの発生は生活習慣と深く関連していることが分かってきました。その1つが、食生活です。ここでは、がんを予防するためにどのような食事が良いのか科学的な根拠に基づき紹介していきます。
国立がん研究センターなどが行った日本人を対象とした研究によって、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」を定められており、その中に「食生活」があります。がんのリスクを低下させる、リスクを上げる食生活について明らかになっていますが、バランスの良い食事を摂ることが基本です。
食生活を「健康型」「伝統型」「欧米型」の3パターンに分けた研究結果があります。
パターン | 関連性の強い食材 |
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健康型 | さまざまな種類の野菜、果物、海草、じゃがいも、 ヨーグルト、きのこ、大豆製品、牛乳、卵など |
伝統型 | 塩蔵魚卵、漬物、魚の干物、味噌汁、米、魚介類など |
欧米型 | ベーコン、レバー、牛肉、豚肉、鶏肉、パン、バター、 チーズ、マヨネーズ、ドレッシング、炭酸飲料など |
10年の追跡期間で、胃がんリスクは男女ともに伝統型の度合いが高いことが分かりました。これは、塩分の多い食品と関連があると考えられます。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター|食生活パターンと胃がんとの関連について (https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/262.html)
日本で推奨されている日本人のためのがん予防法では、食事のポイントとして次の2点を挙げています。
それぞれのポイントについて見ていきます。
食塩摂取量が多いと胃がんのリスクが高いことが分かっているため、塩分を抑えることが重要です。
男性 | 女性 | |
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摂取量目安 | 1日あたり8.0g未満 | 1日あたり7.0g未満 |
野菜や果物の摂取が少ないと、以下のがんのリスクが上がることが示されています。
がん予防関連が示されている部位 | |
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野菜 | 口腔・咽頭・喉頭、食道、胃 |
果物 | 口腔・咽頭・喉頭、食道、胃、肺 |
参照元:独立行政法人国立がん研究センター|がんを遠ざける生活習慣 (https://www.ncc.go.jp/jp/information/event/50th_event/stageevent/50th_tsugane.pdf)
その一方で、野菜や果物を多く摂取した方ががんリスクを抑えられることが明らかになっているわけではありません。
野菜 | 果物 | |
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摂取量目安 | 350g | 野菜と合わせて400g程度 |
塩分に注意し、摂取しすぎないように気を付けることが大切です。
大腸がんは動物性タンパク質から生成されるとされているため、赤肉や加工肉の摂取量が多くなればリスクが上がります。また、がんリスクがあると疑われている動物性脂肪や肉の焦げなどを避けることも大切です。
抗酸化作用があるビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは、免疫を高める効果があります。キャベツやブロッコリー、カリフラワーやにんじん、パセリなどの野菜に含まれます。
トマトに含まれるカロテノイドの一種であるリコピンはトマトに含まれ、カロテンの数倍の抗酸化作用があります。食物繊維やコーヒー、緑茶など、がん予防の可能性があるとされている食品についても意識して摂取しておくと良いでしょう。
がん予防のポイントとして、飲食物を熱いまま摂らないことも推奨されています。熱い飲み物や食べ物で口の中や食道の年末を傷つけることが、食道がんや食道炎のリスクを高めることが分かっています。そのため、飲食物は、少し冷ましてから摂るようにしましょう。