運動をすることでがん全体の発生リスクが低下することが分かっています。ここでは、運動とがんの関係や必要な運動量など、運動によるがん予防について解説します。
運動量とがん罹患の関連性を調べた結果、運動量が多ければ多いほどがん罹患リスクが低くなることが分かりました。運動量の最大群と最小群で比較した罹患リスク結果は下記の通りです。
運動をすることによってリスクが減るがんを、部位別に見てみましょう。
罹患リスク | |
---|---|
結腸がん(男性) | 確実にリスクを下げる |
肝がん(男性) | リスクを下げる可能性がある |
膵がん(男性) | リスクを下げる可能性がある |
胃がん(女性) | リスクを下げる可能性がある |
乳がん(女性) | リスクを下げる可能性がある |
子宮体がん(女性) | リスクを下げる可能性がある |
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター|身体活動量とがん罹患との関連について (https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/322.html#:~:text=%E7%94%B7%E5%A5%B3%E3%81%A8%E3%82%82%E3%80%81%E8%BA%AB%E4%BD%93%E6%B4%BB%E5%8B%95%E9%87%8F,%E3%81%BF%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82)
参照元:がん情報サービス|がんの発生要因 (https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html)
運動量が多くなるとがんを予防できる理由について、詳しい仕組みは明らかになっていません。ただ、以下の点においては、がんの予防に関して少なからず影響を与えているのではないかと考えられています。
運動不足は、がんの罹患リスクを高める以外にも様々な健康的リスクに繋がります。運動不足によって生じる病気を挙げてみましょう。
肥満や高血圧、糖尿病を放置すれば、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす恐れもあります。また、普段から運動不足だと長期入院などによる安静状態が続いた際に下肢静脈血栓症や下肢のむくみが生じます。
肥満や糖尿病、高血圧などは運動量を増やすことで症状が改善するため、運動することは非常に重要なのです。
運動量が多くなればなるほどがんのリスクが低下すると紹介しましたが、極端に負荷がかかる運動をしてしまうと活性酸素を増加させて資質やタンパク質などを損傷させ、身体に悪影響を与えてしまう恐れがあります。ここでは、適切な運動量について年齢別に紹介します。
18歳から64歳については、3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行うことを基準としています。
1メッツ・時に相当する運動量はこちらです。
参照元:独立行政法人国立がん研究ンセンター|日本人のためのがん予防法(https://epi.ncc.go.jp/files/02_can_prev/150303E4BA88E998B2E38391E383B3E38395s.pdf)
1日の目安としては、歩行と同程度の強度の運動を毎日60分行うことに加えて、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分程度行うと考えてください。
65歳以上の場合は、強度に関わらず10メッツ・時/週の運動を行うことが推奨されています。目安として、寝たまま、座ったままでも構わないので、毎日40分以上の身体活動を行いましょう。
20歳以上で運動習慣がある人は、男性で32%、女性で27%とされています。
いきなり必要量の運動をしなさいと言われても、難しいかもしれません。しかし、運動はがん罹患後の死亡に対しても予防的であると報告が出ています。大切なのは、現在の運動量を少しでも増やし、運動する習慣を作ることです。日常生活を活動的に送りましょう。