がんは手術による治療が多くおこなわれますが、手術で治療が完了するケースは少なく、術後も治療が続きます。その目的は、再発予防。ここでは、再発予防方法のうち、術後補助療法についてまとめました。
術後補助療法は、手術では取り除けなかったがんの再発を予防する目的でおこなう治療です。
がんは、目に見えない小さな状態のことがあり、画像検査でも検知できないことがあります。そのような微小ながん細胞は、手術ですべてを取り除けないので、手術後に体にがん細胞が残っていることがあるのです。
また、手術箇所以外に小さな転移巣ができている可能性もあります。残ったがん細胞を根絶させるのを目標におこなうのが術後補助療法です。
術後補助療法には、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「放射線療法」があります。
術後化学療法は、抗がん剤を服用する治療方法で、ステージⅢのがんが適応になります。また、ステージⅡでも再発の可能性が高い場合にも適応されます。
手術後1~2ヶ月以内にスタートし、通常は6ヶ月で治療がおこなわれます。強い副作用が起きた場合は休薬が可能ですが、その分治療期間は長くなります。
抗がん剤には複数の種類があり、場合によっては複数の抗がん剤を使うこともあります。ちなみに、手術の効果を高めるために手術前におこなわれるのは術前化学療法です。
術後内分泌療法(ホルモン療法)は、女性ホルモンの作用をコントロールしてがん細胞の増殖を抑える治療です。3つの方法があり、閉経前・後が関係します。
抗エストロゲン剤は、女性ホルモンをがん細胞が取り込み大きくなるのを抑制する方法です。錠剤の薬を毎日服用します。
LH-RHアゴニスト製剤は、女性ホルモンの製造過程に働きかけてエストロゲンの生成を抑える方法です。
アロマターゼ阻害剤は、体内の細胞で女性ホルモンが作られるのを抑える錠剤を服用します。
閉経前は、抗エストロゲン剤・LH-RHアゴニスト製剤、閉経後は、抗エストロゲン剤・アロマターゼ阻害剤がそれぞれ使用可能です。
放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療法。がん細胞と正常な細胞の回復力の差を利用した治療方法です。ほとんど全てのがんに適応し、術後におこなえば、再発予防効果が期待できます。特に乳房温存術をおこなった乳がんにおこなわれることが多いです。
手術後、傷が治ったらすぐに照射をスタートします。抗がん剤との併用をするケースもあり、その場合は、抗がん剤が優先されます。